2014年11月29日土曜日

6才のボクが、大人になるまで



リチャード・リンクレイター最新作。
ビフォア・ミッドナイトも素晴らしくて、
ウェイキング・ライフとかも見て、
この監督ハンパねーなと思ってたら、
とんでもない傑作キタで!といった印象でした。
(原題はBoyhoodで、邦題は最悪だと思います)
映画の主人公の実年齢に合わせて、
6才から18才になるまでの12年間、
毎年夏に集まって撮影が行われ完成したらしい…
ドキュメンタリーなら全然ありそうな話ですが、
フィクションで1人の青年の成長を、
実際の時間軸で切り取ったfreshさには感服するしかない。
こういった作り方なので、
どうしたって「時間」がテーマになり、
己の過ごしてきた時間、これから過ごす時間に対して、
考えさせられること山の如し。
お話自体は非常にシンプルで、
アメリカのヒューストン育ちの子どもが成長し、
大学に入り、自分の進むべき道にたどり着くという話。
多くの人が歩んできた道であり、
取り立てて大きな事件は起こらない日常が3時間近く続く。
これだけ聞くと、「面白いの?」となるかもしれませんが、
そこがリンクレイター監督の素晴らしいところで、
何気ない日常に潜むちょっとした出来事や会話を
丁寧に積み立てていくことで、ずっと見たくなるほど、
主人公メイソンに感情移入できる作りになっています。
あと12年の時間を描くのに、何歳とかキャプションはなく、
サブカルチャー要素である、
映画、本、音楽の変遷で演出するのが最高でした。
彼は母、姉との3人暮らしで、シングルマザーの家庭で育ちます。
前半は大人の都合に振り回されながらも、
たくましく生きていくメイソンの姿が愛おしい。
父役をイーサン・ホークが演じているんですが、
彼がいい感じの父でバランサーを担っている。
たまの週末しか会わないっていうのもあるんですが、
子ども目線と大人目線の使い分けが絶妙。
こんな大人になりたいものです。
一方の母親は一時の感情で動きがちで不安定。
女手1人で子ども2人を育てるのが難しい中で、
再婚したり、修士号を取って大学の先生になったりする。
子育ての素晴らしさとそのカルマ、
自分自身の人生を生きることを体現してる。
ある意味、自分に正直で誠実な人。
特にメイソンが大学の入学のため、
家を出る日に「ズルい!」とキレるシーンが好きでした。
若さとその可能性へのジェラス!
メイソンは転校が多く、人間関係をゼロベースで作らねばならず、
母を反面教師にするかのごとく、内向的な性格になっていきます。
義父の存在もそれを加速させた要因で、
理髪店で髪の毛を切られるシーンは本人にとっては地獄だろうけど、
愛おしいなーと思いましたし、そのリカバー演出もキュン死。
そんな彼も成長するにしたがって、自分の好きなことを見つけて、
それに向かって生きていく姿が本当にかっこよくて眩しい。
後半には恋愛の様子も描かれ、極上の甘酸も見れます。
(彼女の可愛さたるや…)
ビフォアシリーズで見せた十八番の会話演出が炸裂し、
あー最高だなーと思いながら、ずっと見てました。
高校を卒業し、父とライブに行くシーンがとても好きで、
夢をあきらめ保険会社のサラリーマンとなった父と、
夢を追い続けた父の友人。
この2人の大人によって、人生は如何様にもなるってことを、
映像でバシッと見せるのが素晴らしいなぁと思いました。
結果、どういう形になるかは分からないけれど、
その時々で選択を行い、自分の人生を形成するしかない!
という話は身に滲みまくり。
ラストはエゲツない多幸感に溢れた美しい映像で締め。
長いけれど、ずっと見ていたいと思う素晴らしい作品でした。

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