jellyyのワンマンライブに行ってきた。圧倒的に若者だらけだろうなとは思いつつ、今見ておきたい気持ちが勝って平均年齢爆上げスティーロで馳せ参じたのだった。結果として1時間ものライブを見ることができて大満足。彼の楽曲の特色がライブでうまく機能していて1時間があっという間の素晴らしいショウケースだった。
仕事で会場に遅れて着いたのだが、そのタイミングでSieroがライブをやっていて「ニコニコ」でフロアは大爆発していた。こういったヤンガンのライブに行くのはSkippaのリリパ以来。あのときはWWWだったので逃げ場があったが、今回はCircusでフロアとステージの一体感がハンパなく日本語ラップの今の勢いを肌で感じた。
その後、この日jellyyのバックDJを務めたchex2によるDJタイムになったのだが、ここでもひと昔前にはまったく想像つかない風景が広がっていた。転換DJ時、フロアに人がいなくなる風景をヒップホップのライブ現場で長らく見ていたが、若い子たちはDJタイムでもライブと同じくらい盛り上がっているのだ。1曲目がLEX, Only U, Yung sticky wom「Team」でフロア前方が爆発。さらにSad Kid Yaz「ロンドン」でモッシュまで起こっていた。当然ライブの方が盛り上がるのだろうけど、DJだとしても「好きな曲なら上がるっしょ?」というピュアな音楽への愛が伝わってきた。chex2が最後にかけた曲がSEEDA「Slick back」のCCG12収録の新しいREMIXヴァージョンでアガった。jellyyのバースがあるからかけたのだろうけど、PUNPEEやNORIKIYOのバースまで聞けて大変ありがたかった。
満を持して始まったjellyyのライブ。今回は先日リリースされた『Forever』のリリパということでアルバム曲中心のセットリスト。アルバムの構成と同様にアッパーモードで始まり、聞かせるメロウなパートを経て、終盤はアンセム系といった構成となっていた。「日本語ラップバブル」と言われて久しいが、ワンマンライブで60分もライブをやれるラッパーがどれだけいるだろうか。若干19歳だが、音楽でやっていくんだという気概をそれだけでも感じる。
ライブは「Forever(Intro)」からバイブス満タンでスタート。とにかくフロアが盛り上がる曲が立て続けに投下されていく。「Never ever lose」の1stバースの音抜き&刻みのフロウが、照明もあいまって、あまりにもかっこよすぎてフロアもバウンスしていた。「Naked」への流れは、ライブならではのカットインで入っていく仕様で最高。さらに1stアルバム『Most hated』から「Togari」が投下。たった1年でバンガーをこれだけ作り出していることに驚く。
そして、Sieroがぬるっと登場して二人のジョイントアルバムから「WWW」が披露されて、この日1番くらいに大爆発。昨年のリリパに行けなかったので、二人が揃ってラップする姿が見ることができてよかった。もう1曲はサンクラにある「Remember」という曲で二人の絆を感じさせるステージングだった。これに限らず、アルバム以外のシングルやサンクラ曲も惜しげもなく披露されており「Drank night」はリリース時に「こっちもいけるのか!」と驚いたウェッサイチューンで今回聞けて嬉しかった。「動き」「不器用」で前半パートが締めくくり。ここで激しいモッシュが発生しており今の現場のリアルが詰まっていた。トラップが登場して約10年経ち、身体的な意味でも根付いたのだなと改めて感じた。
「What You See(19)」から比較的落ち着いたトーンの後半がスタート。アルバムでも同様だが、ライブでもこのパートに彼らしさが表れていた。大抵のヤンガンたちは同じトーンの曲がたくさんある状況でライブのメリハリがつきづらいだろう。しかし、jellyyの場合はハードもメロウも、どんなモードでもラップできるがゆえ、ライブに緩急がついて1時間という長い尺でも全くダレることがなかった。ここに彼がスペシャルである理由が詰まっている。
『Most hated』からの客演曲も立て続けに披露され、客演ではTiea Creator、Kamui、Lisa lil vinciが軒並み勢揃い。Kamuiのバイブスの高さはキャリアを感じさせるものでかなり盛り上げていた。彼が「3、2、1 let’s go!」というトラップ以降の定番フレーズを放った瞬間に、逆説的にjellyy がその手の煽りをここまで一切していないことに気付かされた。<やりたくない事やらない日本語ラップテンプレート>と曲でも言及しているので、自分のスタイルを確立しようと模索していることが伺えた。
終盤は彼のディスコグラフィの中でもポジティブサイドである「Alright」「Living In The Dream」とアンセム系が続いて「良い未来」で大団円。自身の弱さを見せたあとに、ビートの派手なトーンにあったエンパワメント性に溢れた曲を聞くとより深く心に刺さった。
曲間のMCでは、繰り返しリスナーに対する感謝を伝えていることが印象的だった。また、楽曲からも感じられる自己肯定感の低さはMCでも吐露されていたが、そこを乗り越えていくためにヒップホップがある。ライブを通じて観客含めた全員がその感覚を共有できていることに、セラピーとしてのヒップホップの側面を垣間見たのであった。
ボーカルのキーの低さや声量など、ライブの技術的に気になるところがないわけではない。しかし、等身大の自分をさらけ出し、自分らしく生きていくことをステージで体現しているからこそ、そこには技術を超えた何かが表出していた。これは若いラッパーにしか出せないものであり、彼がリリックとして昇華した感情の機微は、多くの若者たちが抱える感情の結晶であることが、その盛り上がりから伝わってきた。
地元が大阪の若手ラッパーが、東京でこれだけ支持されていることは、ヒップホップの従来のフッドの価値観を覆すものであるし、jellyyのラップはcold cityである東京だからこそ刺さりやすいのかもしれない。CCGにも抜擢されたことだし、夏にはアルバムが予定されてるそうなので、z2026年がjellyyの年になってほしい。





