2015年2月21日土曜日

きっと星のせいじゃない。



(500)日のサマーの脚本コンビが脚本を担当している
ということで見てきました。
(サマーも改めて見たけど最高最高やな!)
予告編を見たときには難病ものかーと眉をひそめていましたが、
過去の難病ものに対して批評的なスタンスを持ちつつ、
甘酸っぱい青春の1ページを切り取り、
なおかつ「死」の掘り下げ方も深いという
奇跡的なバランスの作品になっていて素晴らしかったです。
ティーンエイジャーが限られた時間を精一杯生きる姿を
見せつけられると、のんべんだらりと生きている
僕みたいなおじさんは考えさせられることが多々あり。
主人公はヘイゼルというガンにかかっている少女。
甲状腺ガンを発病し、肺に転移したことから、
酸素ボンベが欠かせない。
そんな退屈な日常を過ごしていた彼女が出会った
オーガスタスという男子と恋に落ちて…という話。
冒頭、彼女のナレーションから始まるんですが、
ここでfictionでありがちな美女が不治の病にかかり…
というのはあくまでfictionでしかなく、
実際は病院と退屈な家との往復でしかないということを
ガツーン!と決めてくるところで予告編での心配はすべて解消。
そして本作では恋に落ちる相手も
かつて深刻な病気だったという過去を持つのもポイント。
オーガスタスは骨肉腫で右足の膝下を切除しています。
ヘイゼルがある種悟りきった死生観を持っているのに対して、
彼はユーモアの人でポジティブさを持つ。
そんな彼にヘイゼルは徐々に惹かれていきます。
(最初に出会うシーンでのタバコのくだりは、
喫煙者には辛いヘイゼルの論説…)
前半は病気を持つ彼女と治った彼との関係が
構築されていく様子が描かれていきます。
この2人の距離を縮めるのが1冊の本っいうところが
本好きにとっては最高に愛おしい。
「大いなる痛み」という本なんですが、
唐突なそのエンディングを巡って2人で盛り上がる。
その本を読んでいるあいだ、オーガスタスは
ヘイゼルに返信しないものだから、
彼女は肌身離さず携帯を持って常にメールをチェックしてるが、
かわいらしかったですねー
さらにオーガスタスが気を利かせて本の筆者とコンタクト。
その筆者からオランダで会う旨の約束を取り付ける。
2人はこのまま上手くいくかと思いきや、
彼女の病気が再発し、入院してしまう。
ヘイゼルは彼を傷つけたくない一心で距離を置くようになる。
しかし、皆の尽力によりオランダ行きが実現。
2人は再度距離を縮めていきます。
初日に2人でドレスアップしてディナーに行くんですが、
そのシーンの多幸感たるや…
翌日はついに憧れの筆者との対面。
物語の続きを聞こうと楽しみにしていたら、
屁理屈コネ倒すアル中のオジさんで最悪の対応を受けてしまう。
この作家役をウィレム・デフォーが演じているんですが、
超最悪で最高なんですよねー
いきなるスウェーデンのいなたいヒップホップを爆音でかけたり、
「病気をダシに社会の恩恵を受けてのさばりやがって!」
とか身もふたもないことを言ってしまう。
最悪の思い出になりかけたところを救うのが、
アンネ・フランクの家。
他人のことを配慮して自らの思いを押し殺してはならない
というメッセージに勇気づけられ、
ヘイゼルとオーガスタスはここで初めてキスをする。
見ている間、全然キスしないなーと思っていたら、
このシーンに向けたタメだったのか!と納得。
2人の純粋な気持ちが結実するイイシーンだったと思います。
最高の旅行のまま終わるかと思いきや、
オーガスタスから衝撃の告白が。
ここから立場が一気に逆転してしまうのが
Freshだなと思いつつも、めっちゃ辛い気持ちになりました。
特にガソリンスタンドからオーガスタスがTELしてくるシーン。
ユーモアの人でいつも気丈に振る舞っていた彼が
死を目前にして恐れる姿が胸が締め付けられました。
(傑作エンディングノートでも提示されていた点)
僕が泣いたのは生前葬を
オーガスタスと彼の友人、へイゼルで行うシーン。
全盲の友人の弔辞で号泣メーン!
さらに死ぬ直前に2人でピクニックで交わされる、
誰かの記憶に残ることに関する話で、
多くの人の思い出に残るよりかは
1人に一生忘れないでいてもらうことが大切なのでは?
というねーその通りだなぁと納得。
そして実際の葬式でヘイゼルの取る選択も
葬式論として溜飲を下げました。
想定外に翻弄される斜め上の良さがあるので、
是非見て欲しいところでございます。

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