2016年4月9日土曜日
ルーム
<あらすじ>
7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、
彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った
5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に
外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、
ジョイは全てをかけて脱出するが……。
(映画.comより)
ブリー・ラーソンがアカデミー主演女優賞を
獲得したことで脚光を浴びている本作。
彼女の出演作品といえば、
ショート・タームという作品があって、
それが本当に素晴らしい内容だったので、
とても楽しみにしていました。
予告編から想像していたものに加えて、
その先の結果にまつわる展開に
色々と考えさせられました。
何も終わらないけれど、
世界はそこに眼前に存在し続けるという
メッセージにやられちゃいました。
※ここからは盛大にネタバレして書きます。
本作は部屋に監禁されていた母子が、
その支配から抜け出すというお話です。
したがって、前半はほとんどその部屋の中で、
話が展開していきます。
はじめは彼女たちがどういった環境で
生活しているかが紹介されるわけですが、
カメラが役者にとても近くて、
スクリーンから圧迫感を強烈に
感じるようになっていました。
実際、大きなサイズのセットではなく、
11フィート×11フィートのセット内で
撮影が行われたようで、その効果は抜群でした。(1)
この窮屈な環境で生まれ育った、
5歳のジャックの言動がいちいち悲しいんですよね。。
彼は生まれてこのかた部屋を出たことがないから、
何が本当で虚実なのか、区別ついていません。
部屋の外は"宇宙"として存在し、
TVだけが彼にとっての"世界"になっています。
そんな風に考えるようになってかわいそう〜
と思う方もいるかもしれませんが、
これは普遍的なメッセージだと思っていて、
TVをインターネットに置き換えて考えると、
身に覚えがあるぞ…と。
自分が摂取している情報の真偽を
確かめもせず遠くから見て知った気になる、
ということは今の時代おおいにあると思いますし、
僕なんて完全に部屋閉じこもり系ですから。
(誰にも監禁されていないにも関わらずね!)
監禁している男が日曜日に、
物資を持って訪問するんですが、
その際、ジャックはクローゼットに隠れている。
部屋の中のさらに限定されたクローゼットでの展開は
緊迫感があって眠気も吹き飛びました。
この前半の生き地獄から、
後半は彼女たちがエスケープする話。
この脱出シークエンスに関しては、
ちょっとご都合主義かなーと思いましたが、
そんなことをすべて吹き飛ばす、
本当に素晴らしいシーンがありました。
段階的に極にまで空間を狭めたことで、
ただ空が広がっているだけなのに、あのヌケの良さよ!
これは絶対映画館で体験したほうがいい部類のものだし、
スクリーンで空を見ただけで、
あんなに泣くことはこの先ないように思います。
先にジャックだけ助かり、あとで母親も助けられるんですが、
ここのギミックが96時間リベンジに似ていて、
あの警官すげーな!と思ったりしました。
この助かるシーンがクライマックスで終わる映画も
多いと思いますが、本作はそれらと一線を画し、
助かったあとも描いてきます。
当然最悪の状況から抜け出したわけですから、
幸せになるはず …と思いきや、
そんな単純な話ではありませんでした。
まず、前半で不問にしていたジャックが
誰の子どもであるかという内容に
フォーカスを当てていきます。
当然ですが産まれてきた本人には
何の罪もないんですが、これからの人生がどうなるのか、
それが母親にとって強烈な不安、
プレッシャーとなって襲いかかる様は辛かったです。
とくに家族全員で食卓を囲むシーンの
あの独特の間合いには息を飲みました。
あと「レゴで遊んでよ!」というのは、
個人的にパンチラインでした。
そんな行き詰まった彼女に対して、
ジャックは"世界"に徐々に適応し始めて、
母親を心配する様子はグッとくるし、
おばあちゃんに「大好き」というシーンは、
不意打ちというのもあって泣きました。
ラストに部屋を訪れるシーンも共感するところがあって、
僕は阪神震災で大阪に引っ越したんですが、
数年に1回は当時住んでいたマンションを
訪れることがあります。
大人にとっては辛い記憶でも、
子どもにとっては、その中で見つけた良き思い出が
少なからず存在するのである、
というメッセージだと思いました。
本作の監督であるレニー・アブラハムソンは
FRANKを撮った人ですが、
いずれも"世界"から閉ざされた人が
自分と向き合うことでいかに世界と対峙していくか、
という共通点があると思います。
今後の作品も楽しみなところです。
ラベル:
Movie Review_2016
Rest In Power , Phife Dawg
A Tribe Called Questのメンバーである、
GilesがTribute Mixをアップするということからも
Jazzへの影響度の大きさが分かると思います。
Gilesの
勢いに乗りまくりのLAのレーベルから。
サンプリングソースやトライブ周辺の音源も含めた幅広いミックス。
トラックリストがアップされていますので、
興味のある方は参考に→トラックリスト
Apple Radioの番組でQ-Tip自らがミックス。
ライブ音源が非常に多くて、同じ曲が何度もかかります。
番組内で彼の口からコメントすることもなかったので、
ミックスしながらQ-Tipが
Phifeとの思い出に浸っていると思うと泣けてくる。。。
一方で著名なアーティストのコメントが
曲間にあって「私とトライブ」というお題で、
皆が追悼の意を示していました。
Complexに文字起こしが掲載されていて、
Kendrick Lamarのコメントでは、
PhifeのScenarioのリリックに言及されていました。
'I’m all that and then some short dark and handsome
Bust a nut inside your eye, to show you where I come from.'
背の低かった自分はロックされたし、
このラインはwittyでcraftyであると。
またOutcastのAndre3000のコメントもあり、
Outcastが所属したレーベルへのデモ披露が、
トライブの曲上だったという話もオモシロかったです。
Kendrick Lamar, André 3000, and Chuck D Paid Tribute to Phife Dawg on Q-Tip's Abstract Radio
Song
Mac Millerのトラックメイカー名義で公開された曲。
フックにCheck The Rhymeのイントロの
掛け合いを使ったメローチューン。
タイトルの"5 Foot Assassin"は、
Buggin' Outで言及されているPhifeの別名。
Wiz KhalifaがElectric Relaxationをジャック。
MacもWizもピッツバーグ出身なのは偶然なのかなー
このビートは最高にChillin'だと思います。
A Tribe Called QuestがJazz Musicianに与えた影響が、
大きかったことは彼のコメントを見るとよく分かると思います。
→Terrace Martin Shares "Tribe Called West," Inspired by A Tribe Called Quest
あとこのTweetも確かに!と納得。
本当に素晴らしい内容で最高最高!
Donny HathawayのValdez In The Countryのカバーに
個人的にシビれました。
Phifeが作っていたソロアルバムからのシングルで
トラックはJ Dilla。
もう2人ともこの世にいないと思うと、
悲しくなりますが90'sマナーな良い曲。
Text
How Phife Dawg Changed My Life
2DBに掲載された「私とトライブ」な記事がオモシロかったです。
トライブとの出会いや、
いかにPhifeがリリシストとしてイケてるかを
彼の考える優れたラッパー論も交えて書いています。
ホンマに好きなんやろなーと思わされる熱量。
本人もラッパーを志していたらしく、
記事内で自分のリリックを晒していたりするんですが、
彼が大学でのサイファーに参加したときに、
Phifeが飛び入りでサイファーに参加したらしく、
憧れの人との刹那的な思い出に胸が熱くなりました。
ラッパーのPhife Dawgが亡くなりました。
ここ数週間のあいだ、
色々とコメントやTributeが出たりしていて、
あらためてA Tribe Called Questの偉大さを感じる日々です。
一応、「私とトライブ」話を書いておくと、
最初に買ったアルバムはLow End Theoryです。
当時聞いていたRhymesterのラジオで、
このアルバムのミックスエンジニアであった、
ボブ・パワーについて紹介されたことがあり、
それきっかけで買いました。
そのときに音の凄みに気付く訳もなく、
背伸びしたい気持ち一心だっただけなんですが、
単純にめちゃ渋くてかっこいいアルバム!
と思っていました。
(The JAM EPの12inchを聞いたときは、
さすがにボブ・パワーの偉大さに気付いた)
あとDJ始めたての頃はStressed Outを
よくかけていたりしましたねー
とまぁ、皆それぞれトライブとの思い出がある訳です。
ただ、完全に僕はQ-Tip派というか、
Phifeの存在を強く認識したのは、
恥ずかしながらドキュメント映画を見たときが初めてでした。
そのときは少しだらしなくて、
グループの足を引っ張っているようにさえ見えました。
今回亡くなったことで彼のどこが偉大だったのかが、
他のアーティストのコメントで分かるという、
時すでに遅しな感じでして…
ただ、完全に僕はQ-Tip派というか、
Phifeの存在を強く認識したのは、
恥ずかしながらドキュメント映画を見たときが初めてでした。
そのときは少しだらしなくて、
グループの足を引っ張っているようにさえ見えました。
今回亡くなったことで彼のどこが偉大だったのかが、
他のアーティストのコメントで分かるという、
時すでに遅しな感じでして…
彼の偉大さについては、リリック面の言及が多くて、
その辺りを踏まえて改めて聞いていきたいです。
参考になった海外のコメントや
Tributeを備忘録的にまとめておきます。
その辺りを踏まえて改めて聞いていきたいです。
参考になった海外のコメントや
Tributeを備忘録的にまとめておきます。
Mix
GilesがTribute Mixをアップするということからも
Jazzへの影響度の大きさが分かると思います。
Gilesの
勢いに乗りまくりのLAのレーベルから。
サンプリングソースやトライブ周辺の音源も含めた幅広いミックス。
トラックリストがアップされていますので、
興味のある方は参考に→トラックリスト
Apple Radioの番組でQ-Tip自らがミックス。
ライブ音源が非常に多くて、同じ曲が何度もかかります。
番組内で彼の口からコメントすることもなかったので、
ミックスしながらQ-Tipが
Phifeとの思い出に浸っていると思うと泣けてくる。。。
一方で著名なアーティストのコメントが
曲間にあって「私とトライブ」というお題で、
皆が追悼の意を示していました。
Complexに文字起こしが掲載されていて、
Kendrick Lamarのコメントでは、
PhifeのScenarioのリリックに言及されていました。
'I’m all that and then some short dark and handsome
Bust a nut inside your eye, to show you where I come from.'
背の低かった自分はロックされたし、
このラインはwittyでcraftyであると。
またOutcastのAndre3000のコメントもあり、
Outcastが所属したレーベルへのデモ披露が、
トライブの曲上だったという話もオモシロかったです。
Kendrick Lamar, André 3000, and Chuck D Paid Tribute to Phife Dawg on Q-Tip's Abstract Radio
Song
Mac Millerのトラックメイカー名義で公開された曲。
フックにCheck The Rhymeのイントロの
掛け合いを使ったメローチューン。
タイトルの"5 Foot Assassin"は、
Buggin' Outで言及されているPhifeの別名。
Wiz KhalifaがElectric Relaxationをジャック。
MacもWizもピッツバーグ出身なのは偶然なのかなー
このビートは最高にChillin'だと思います。
A Tribe Called QuestがJazz Musicianに与えた影響が、
大きかったことは彼のコメントを見るとよく分かると思います。
→Terrace Martin Shares "Tribe Called West," Inspired by A Tribe Called Quest
あとこのTweetも確かに!と納得。
そして、この曲が収録された彼の最新アルバムVelvet Ropeもすげー小さい話だけど、10代の頃にATCQとデラソウルに出会ってヒップホップにハマってしまった同級生は地元で今でもレコード買ったりDJしたり、音楽をエンジョイしてる。彼らの音楽には僕らをずっとずっと音楽の虜にする何かがあったんだよなhttps://t.co/EFwBXbmYcL— 柳樂光隆Jazz:NewChapter (@Elis_ragiNa) 2016年3月23日
本当に素晴らしい内容で最高最高!
Donny HathawayのValdez In The Countryのカバーに
個人的にシビれました。
Phifeが作っていたソロアルバムからのシングルで
トラックはJ Dilla。
もう2人ともこの世にいないと思うと、
悲しくなりますが90'sマナーな良い曲。
Text
How Phife Dawg Changed My Life
2DBに掲載された「私とトライブ」な記事がオモシロかったです。
トライブとの出会いや、
いかにPhifeがリリシストとしてイケてるかを
彼の考える優れたラッパー論も交えて書いています。
ホンマに好きなんやろなーと思わされる熱量。
本人もラッパーを志していたらしく、
記事内で自分のリリックを晒していたりするんですが、
彼が大学でのサイファーに参加したときに、
Phifeが飛び入りでサイファーに参加したらしく、
憧れの人との刹那的な思い出に胸が熱くなりました。
長くなってしまいましたが、
皆様も改めてPhife Dawg含め、
A Tribe Called Quest の素晴らしい曲の数々を
聞いてみるのはいかがでしょうか。
Rest In Power, Phife Dawg.
2016年4月3日日曜日
四月物語
これまで岩井俊二監督作品を、
見たことがなかったんですが、
最新作を見る前にちょっと見てみよー
と軽い気持ちで見たら、
とても素晴らしい内容でした!
しかも、この季節に見ると
グッとくる度合いがハンパじゃなかったです …
ある大学に入学した女の子が主人公で、
その彼女の4月を描いた作品で、
主人公を演じるのが松たか子。
冒頭いきなり本当の家族である、
松本幸四郎一家が出てくるメタ構造に
ビックリしたんですが、
何よりも本作の松たか子の初々しさよ!
映画という メディアが持つ光と闇、
被写体自身が持つ魅力のアンサンブル。
4月といえばはじまりの季節として、
ポジティブなイメージがあると思うんですが、
本作ではネガティブな部分も描いています。
とくに大学入学時のなんとも言えない嫌な感じは、
見に覚えがありすぎて、絶叫しそうになりました。
あとは春の街を自転車で走り回る、
ただただその姿を見ているだけでも、
人生の息吹を感じるというか、
生きてるだけでも楽しいことあるじゃん!
と思えてくるんだから映画は素晴らしいと思うんです。
後半で彼女が東京の大学へ入学した動機が判明したあとは、
甘酸っぱ い展開となるんですなー
傘の借りシーンは甘酸っぱさの極北!
今、この季節に見てこそなので未見の方は是非。
ラベル:
DVD Review
七日間じゃ映画は撮れません
宇多丸師匠が帯コメントを書いていますし、
伊賀大介氏もプッシュしていたので、
楽しみにしていました。
本作は映画を題材にした小説なんですが、
映画を撮るということをダイナミックに描いていて、
オモシロかったです。
映画を語る際に多くの場合は、
監督、俳優を切り口に語られると思います。
しかし、映画は総合芸術であり、
美術、照明、撮影、脚本、録音といった、
複数の要素が有機的に絡み合って
初めて作品として成立するのである。
という考えに基づいた異常なまでの映画愛に
満ちているのがオモシロいポイントだと思います。
小説の構成もそれぞれの職人が
どういった人物かの背景、
プロフェッショナル性を1章ごとに描いた後、
そのメンバーで撮影した映画の撮影記が描かれる作り。
とにかく各メンバーのキャラ立ちが抜群なんですが、
良くも悪くもジャンプのキャラクターのようでした。
というのも、それぞれの章はオモシロいんだけど、
終盤に皆で集まってからは、
皆が物語に酔っている印象を持ちました。
それは本作内で作られる映画の抽象性が原因だと思っていて、
もっと分かりやすいアクションだったら、
エモーションで押し切られたかもしれません。
僕が本作でもっともオモシロかったのは、
作中で引用される映画の数々です。
「〜のような」という例えで、
数多くの映画が作品内で引用されているんですが、
作品に没入しているので、
「こんな気持ち、状態になる映画ってどんなん?」
となり、映画レビュー本を読むよりも
コレ見てみたい!となった作品がたくさんありました。
映画好きな人は読むと、
映画への愛がより一層高まる気はします。
映画への愛がより一層高まる気はします。
ラベル:
Book Review_2016
ピザボーイ 史上最凶の注文
最近は洋画の邦題に関して寛容なのですが、
アメリカのコメディを完全になめきった、
クソみたいな邦題を付けることに対する
怒りはstill barningな感じです。
本作の原題は30 minutes or less。
主人公はピザ屋のデリバリーで、
演じるのはジェシー・アイゼンバーグ。
彼がひょんなことから強盗をすることになり、
その顛末を描いたアクションコメディです。
めちゃめちゃオモシロい!という訳ではないんですが、
ちょうどいい温度感といいますか。
本編の時間もタイトで見てて疲れないし、
日常からの跳躍っぷりが笑えて楽しくて良かったです。
とにかく主人公はハッピー!という
あまりに無邪気なエンディングは
都合良過ぎやろと思いましたが…
監督はゾンビランド、L.A. ギャングストーリーと同じ、
ルーベン・フライシャーという人。
確かにこれらの作品もちょうどいい感じあるなーと思いました。
あと劇中音楽でHIPHOPが多用されているのもナイス!
とくにギャングが待ち合わせ場所にくるときに
M.O.PのAnte up鳴らしながら来るところが好きでした。
しかも、そのギャングを演じるのが、
マイケル・ペーニャだからたまんない!
そしてエンディングはOl' Dirty Bastardで締めてました。
ラベル:
DVD Review
2016年4月2日土曜日
孤高の遠吠え
見逃したことを悔やんでいたら、
夕張の映画祭でグランプリを獲得し、
再上映ということで見てきました。
自主映画なので商業映画と比べてしまうと、
クオリティーが低い部分はあるにせよ、
商業映画を蹴散らさんばかりの映画から滲み出る熱量。
その一点突破で持ってかれました。
上映終了後にトークショーもあって、
本作の理解が深まりました。
※ここからは盛大にネタバレして書きます。
本作は不良、とくに暴走族のお話なんですが、
ホラーのようなシーンからスタート。
この時点で自主制作感バリバリで、
この感じの画面で2時間って、
果たしてオモシロくなるのだろうかと不安に思いました。
しかし、そんなことは全くの杞憂でした。
お話の流れとしては、
原付を買おうとした若者たちが
不良とのトラブルに巻き込まれいくというもの。
とにかく本作はキャラクターの魅力に尽きると思います。
実際の不良をキャスティングしていますし、
お話も不良の実話+彼らからインスパイアされた話で
構成されているため実在感がハンパないです。
(本作に出演した不良は軒並み逮捕され1人は失踪)
(本作に出演した不良は軒並み逮捕され1人は失踪)
クローズ、ろくでなしブルース等の
日本の中に脈々とある不良のロマンではなく、
これがリアルな不良の姿だ!と言わんばかり。
僕が好きだったキャラクターは
メインヴィジュアルにも使われている、あっちゃん。
ライターをカチカチする仕草とか、
謎の質問を重ねる姿の狂いっぷりが最高最高!
ロケ地は静岡県の富士宮らしいんですが、
今の地方の国道沿い感もたまらなく香ばしかったです。
そして、街の話にも関係するんですが、
原チャによる街の走行シーンが本作最大の見所。
ノーヘルで街中を軽やかに走り抜ける疾走感、
道路を逆走してしまう背徳感、
どれもが映画館で見てこそ味わえる感触だと思います。
同時に無駄なコンプラ意識が高い今の商業映画を見ても、
この快感は得られないことが、
この快感は得られないことが、
本作を特別な1本たらしめているという逆説性も
2010年代という時代を感じさせてくれます。
また暴力シーンも手作り感満載なのが楽しくて、
現場で不良がオモシロいと思ってくれるものを
一緒に作っていったという監督の話があったんですが、
それが作品にそのまま表れていたと思います。
ストーリーとしては流れがないようであるというか、
バイク・原付で走ることがストーリーに通底していて、
それに対して愚直であるやつがカッコよく見えました。
どこでも見れるタイプの映画ではないけれど、
今見とくべき作品なのは間違いないと思います。
今見とくべき作品なのは間違いないと思います。
ラベル:
Movie Review_2016
バンクシー・ダズ・ニューヨーク
<あらすじ>
謎のストリートアーティストとして
世界的に知られるバンクシーが、
2013年10月、ニューヨークの路上に作品を発表し、
その場所を探し当てるために人々が
ニューヨークを駆け巡った1カ月間を記録したドキュメンタリー。
(映画.comより)
もはや知らない人はいないと言ってもいいアーティスト、
バンクシーを題材にした映画ということで見てきました。
数年前にバンクシー自らが監督した、
Exit Through The Gift Shopという作品がありまして、
それがとてもオモシロかったので本作も期待していました。
本作も内容の本筋としてはExit~と近いものがあり、
既存のアートの価値の転覆というか、
彼自身が超有名アーティストになったことに浮かれることなく、
自分の価値を題材に皮肉の効いたアートを提供し続ける、
その姿勢がよく伝わってくる作品でした。
グラフィティを含むストリートアートについては、
「街の景観を乱している、けしからん!」
という本作内にも出てくる保守おじさん的な意見も
ごもっともな話なんですが、
それだけではないストリートが生むカルチャーや、
アートの価値は誰がいったい定義しているのか、
もう少し考えないといけないなー
と思わされる作りになっていました。
※ここからは盛大にネタバレして書きます。
冒頭は本作がどういった構成なのかを
端的に示すシーンとなっています。
バンクシーがNYの街角にドロップしたアートを、
若者が勝手に略奪しようとして起こるドタバタ騒動。
この騒動のきっかけとなったのが、
バンクシーがNYに2014年10月に1ヶ月滞在し、
毎日作品をNYの街にボムするという企画です。
場所、時間は事前に告知されず、さながら宝探し。
本作には監督自身が撮影した
オリジナル映像はほとんどなくて、
TVニュース、You Tube、Instagramを主体としたSNSといった、
動画をコラージュした作りになっています。
なぜそういった作りになっているかといえば、
本作でフォーカスしているのは、
バンクシーというよりもバンクシーの作品に対する
人々のリアクションだからです。
今や彼の作品はオークションにおいて、
ものによっては数千万円レベルで落札されますし、
街中に提供されたアートは観光名所として機能するレベルです。
そんなものを目の前にした人間たちが、
どういったリアクションを取るのか、それが多種多様で、
そのリアクションからストリートアートの
オモシロさが見えてくる作りになっています。
彼はパブリックなエリアに作品を残すため、
上から落書きする人や作品を持っていってしまう人などが
彼の作品に対するリアクションの大半です。
ゆえに完璧な状態で見れる時間は限定されています。
そこで機能するのがインターネットで、
今回のNYの一連のアートにおいて
非常に重要な役割を果たしていました。
どこに書いたのかをインターネットで公開します。
誰の邪魔もされていない完璧な状態を担保。
(インターネット上のみの作品もありました)
彼はこれだけ有名にも関わらず、
情報化社会の中で面割れしていないという奇跡のような存在で、
彼の作品かどうかもインターネット上で証明されます。
この特徴がもっとも分かりやすいのは、
彼の作品を1枚60ドルで路上販売したシーン。
誰も本物と思っておらず、ほとんど売れません。
しかし、彼が「実は本物でした!」
とネット上で明らかにしたことで、
その絵の価値は爆発的に高まるというねー
一定の有名性を獲得すると、
アートはルックで価値が決まらなくて、
誰が書いたか?が価値を決めるのだというメッセージとして、
これほど痛快なものはないと思います。
パブリックなエリアにアートをもたらすという点についても
本作は非常に示唆的です。
一番印象に残っているのはNYの地下鉄の話。
ワイルド・スタイルでも描かれていますが、
1980~1990年代のNYの地下鉄は
グラフィティのスケッチブック状態でした。
現在では街のクリーン化を行い、
地下鉄にグラフィティは描かれていませんが、
その代わりに広告が掲載されています。
グラフィティ⇒広告に変わっただけでしかないという主張は、
なるほどなーと思いました。
当然、広告は広告会社と鉄道会社同士の契約
という双方が納得したものなんですが、
乗客からすれば、そんなの関係ないわけで。
そして、バンクシーが今回NYでアート活動を行った
最大の原因と思われる5 pointz の再開発・取り壊しについても
本作では終盤のメインテーマとして言及されています。
5 pointz はグラフィティのメッカで、
様々アーティストの作品が数多く残されているエリアなんですが、
NYの再開発の波に呑まれてしまいます。
これもアートの価値にまつわる話だと思っていて、
確かにイリーガルなものですし、
存在していても利益をもたらさなければ意味がないかもしれません。
しかし、その極端な合理主義のもたらす結果が、
本当に人の生活を豊かにするためのものなのか?
日本でも都心部では再開発が進んでいるので、
全く他人事ではないと思います。
長々と書いてきましたが、こういったメッセージを含む、
バンクシーのアートを楽しむ作品として
ばっちり楽しいので彼の作品に興味がある人には、
前作のExit Thorough The Gift Shopより、
こちらの方が分かりやすいと思います。
(本作で登場する作品一覧→リンク)
また、本作を含めたグラフィティーと映画の関係に
関する論文がwebに落ちていたので興味ある方は是非→
スプレー⽸の鳴る⾳ グラフィティ映画研究
さらにグラフィティーについて知りたいという方には、
アゲインスト・リテラシー グラフィティ文化論がオススメ。
ラベル:
Movie Review_2016
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