2024年2月14日水曜日

一私小説書きの日乗 不屈の章

一私小説書きの日乗 不屈の章/西村賢太

 懲りずに五冊目を読み終えた。淡々とした日常の描写は日記の醍醐味であり本著でも変わらず発揮されている。五冊目にもなると彼の生活が自分にとっても日常になるような不思議な感覚さえある。

 自炊している割合が前巻よりもさらに上がっており、その様子を読んでいると妥協なき食への探究心にひれ伏すしかない。毎回の食事が最後の晩餐かと思っているかのごとく自分の満足度を100%追求している。なので、読んでいると自分の食事にもフィードバックがあり「本当に俺は今これが食べたいのか?」と自問自答する機会が増えた。また晩酌しながら読むと彼の飲酒量の勢いに飲まれるがごとく、ついたくさん飲んでしまう。まさか自分がお酒を飲みながら読書するなんて昔は思っていなかったけど、今は常態化しておりアフター5の楽しみになっている。本著が角川時代最後の連載で次巻からは本の雑誌社での連載となるが何か変化するのか、それとも変わらない日常が続くのか楽しみ。

0 件のコメント: