2017年4月1日土曜日

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱

メキシコ麻薬戦争: アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱


メキシコの麻薬を題材にした作品は、
近年立て続けに映画やドラマで描かれていますが、
それをまとめた1冊ということで読みました。
歴史、内蔵、運命という3パートに分かれていて、
メキシコ麻薬戦争を体系的に理解する入門書として、
とてもオモシロかったです。
アヘン(コカイン)の原料となるケシの実が
中国からメキシコへやってくるところから始まり、
筆者がメキシコにおける麻薬について
徹底的に描いていく覚悟を感じます。
一言にメキシコ麻薬カルテルと言っても、
それぞれ成り立ちや行動原理が異なることが
丁寧に描かれていて勉強になりました。
カルテル同士の争いで終始していれば、
ただの抗争で終わるんですが、
手口が陰惨かつ民間の人が犠牲になっている、
そして警察とカルテルが癒着している。
これらのファクターが重なったことで
戦争状態となっているんだなーと。
ほぼ日本の戦国時代の様な状況で、
晒し首が21世紀に入っても行われているだなんて!
色々書き出したらキリないくらいに
信じられないことの連続でページをめくる手が止まらない。
とくにオモシロかったのは宗教のくだり。
カルテル発信で独自の新興宗教が発達していて、
それによってカルテル内の統率を取ることに
一役買っているっていう悪夢。
本作は2010年ごろまでの話なので、
カルテルに対して自警団が結成されて、
民間人が蜂起しているところは描かれていませんが、
その辺は映画のカルテルランドが参考になるかと。
読み終わったこのタイミングで、
最近一番フェイバリットなFKJというアーティストの
MVが公開されて、それがアメリカとメキシコの国境!
鬼メロウで最高の曲なんですが、
本作を読んだ後だとモロモロ複雑な気分になりました。

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