2023年11月21日火曜日

2023年11月 第3週

wondergoo by Crush

 アルバムとしては4年ぶりとなるCrushの新作。昨年出たBTSのj-hopeとのシングルが本当に大好きだった。ファンクど真ん中を2022年にBTSのメンバーとぶちかます、その姿勢に音楽への愛をビシバシ感じ取っていた。肝心のアルバムは聞き進めるうちに胸が苦しくなるくらいに好きな要素しかなくて死ぬかと思った…30過ぎのおじさんにこんな若い恋心のような感情を抱かせる、偉大すぎる大傑作やでほんまに。。。1人でR&Bの歴史を総ざらいする構成になっていて、Justin Timberlake, Bruno Mars, The Weeknd, Michael Jackson, まさかのChet Bakerなど正直すぎるほどにリファレンスが明らかな曲の数々。「ただのモノマネやん」と言う人がいるかもしれないが、ここまでのクオリティになるとそんなことは言えない。K-R&B(ひいてはK-Pop)バイブの曲も合間に挟むことですべてが地続きにあることを主張しているように感じた。これはもうキングの振る舞いと言っても過言ではない。Featも適材適所でDynamic Duoとの相性はバッチリだし、PENOMECOはバチバチにかましてるし、一番ビビったのはKim XimyaをInterlude的に使っているところ。「誰がやべーか分かってんだろ?」と言われてる気がした。  グローバルなマーケットを視野に入れているからこその構成とも言えるけど、このエディット感覚は音楽が本当に好きなんだろうなと愛を感じるのであった。そしてこういったアーティストが生まれる韓国の音楽的な豊かさが本当にうらやましい。J-Pop, J-Rockな曲が悪いとは思わないし、それが一つのカラーになっているのも理解できるが、隣国でこのクオリティの作品が出ているのに開き直って「ガラパゴスでいい」なんて口が裂けても言いたくない。そんなネガは本作とは無縁です、すみません。好きな曲はMJオマージュな”A Man Like Me”

Thanks For Nothing by Paul Blanco

 まさかのCRUSHと同日リリースとなったPaul Blancoの3枚目のアルバム。2021年から毎年リリースが続いている。去年はこちらもBTSのRMのアルバムに参加というトピックがあり知名度は飛躍的に増したと思われる。Singing Styleのラップというよりも、もはやR&Bそのもの。しかも歌い上げるコッテリ系なので、最近のトレンドとは乖離あるけどビート選びはドリル、ドラムンなど最近の要素を入れているので好きだった。ラスト2曲がラップ中心になっていて個人的にはそこがハイライトだった。好きな曲は”Song for you”

WOOOF! by THAMA

 今週はK-R&B week!って感じでひれ伏すしかない1週間。最後はTHAMA。個人的な好みでいえば、彼の作品が一番しっくりきたかも。ずばりネオソウル系でK-R&Bの一番のストロングポイントをこれでもかと発揮している作品となっている。声と生バンドによるビートのマリアージュが本当に素晴らしい。あと結局ベースとドラムによるグルーヴがどれだけ生まれていて、さらに上音のメロウな気持ちよさが自分の好きなポイントなのだな〜と今週の毛色が異なるK-R&B作品を聞いて感じた。好きな曲は”Bump It Up”

Seoulless by RAUDI

 RAUDIというプロデューサーによるアルバム。韓国のヒップホップシーンはビートメイカーによるアルバムがたくさんリリースされていて、それはインストアルバムというよりも色んなラッパーが参加したコンピものが多い。そこで起きるケミストリーがたくさんあって楽しい。彼の過去のディスコグラフィーを見ると個人的に好きな作品に多く参加していて、実際この作品もかっこいいビートばっかりで好みだった。ラッパーのチョイスが結構渋くて特定のレーベルに寄ったりすることなく実力派が多い。アップカミングな人からベテランまで各自にあった色んなスタイルのビートを提供しているのも特徴的で今の時代のビートメイカーは何でも作れることの証左のよう。(4曲目と5曲目のギャップが特に最高)プロデューサータグの”pull up pull up”って声、絶対聞いたことあるシンガーなんだけど一体誰のフレーズだったか…老化。好きな曲は「Keem Hyo-Eunおかえり!」の気持ちも含めて”Dance with me” なおDON MALIKとKeem Hyo-Eunの2人によるアルバムの1曲目もRAUDIがビートを担当。そのコラボアルバムについてはまた来週…今言えることはすべてが最高!!!

Happiness Is Only A Few Miles Away by Joel Culpepper

 Tom Misch主催のレーベルからリリースされたJoel CulpepperのEP。Tom Mischが全曲プロデュースしていて、めちゃくちゃ好きだった。往年のソウルシンガーを彷彿とさせる粘り気のあるJoelの声質、最高のファルセットとビートの相性が素晴らしい。早くアルバムサイズで聴きたい。1曲だけFeatでTom Mischがクレジットされていて歌ってないのになんでかなーと思ったら、ギターの音色、コード感含め、飛び抜けてTom Misch味が強くて笑った。それが一番好きな曲だった”Free”

Sneek by Terrace Martin & Gallant

 今年はいつになくリリースが続くTerrace Martin。今回はR&BシンガーのGallantとの共作アルバムをリリース。Gallantは”Weight In Gold”で出てきたとき、かなりインパクトが大きくてこのままシーンのトップ戦線へと登っていくのかと思いきや他人の曲への参加がほとんどないので実力と知名度が釣り合ってない気がする。ファルセットの力強さが本当にかっこよいシンガーで今回はTerrace Martinのサウンドに合わせた抑え気味のテイストがクールで良かった。彼の声質自体が濃いので、打ち込みの音だと若干too muchになるけど生音だとバランスがちょうど良くなってるように感じた。好きな曲は”Tandem”

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