2023年10月3日火曜日

2023年9月 第4週

Almost There by GRAPEVINE

 ベテランの域にも関わらずここ数年のリリースが攻めまくりのGRAPEVINEの新作がリリース。もともとパートナーが大ファンで知ったのだけども、今回も最高。「オルタナ」という一言ではもはや片付かないスタイルで歌詞、サウンドも日本のバンド最高峰だと思う。ヒップホップがあらゆるジャンルを飲み込んでスタイルが進化していきグローバルな音楽のスタンダードとなる中で、彼らが取った方法としては核となるバンドサウンド(特に人力のドラム)は残しつつ楽曲をかっこよくするための要素を見極めて採用するスタイルがすごい。リズムボックスを使うにせよ、それはハイハットでありキックではないし、”雀の子”のオートチューンの使い方もあくまでアクセント。一方で古参のファンも置いていかないストレートなロックチューンもあるし、攻めの姿勢と彼らのこれまでのキャリアが一番ちょうどいいバランスで混じった”実はもう熟れ”がハイライト。歌詞は”Goodbye, Annie”がニヒルさ満開で最高だった。他のロックバンドはどう聞くのだろうか…?毎回のように最高を更新してくるロックバンドに出会えて本当に嬉しい。

JIYU by Shurkn Pap

 Shurkn Papの新しいアルバム。前作がドライブをコンセプトに据えた”CALL ME MR. DRIVE”の2だった中で今回はアフロビート中心の面白いコンセプトのアルバム。正直、もはや手垢がつきまくったジャンルだし日本でも色んなアーティストがやってきてるけど、アルバム1枚でここまで聞かせられるのか?!という超ハイクオリティな曲のつるべ打ちで正直びっくりした。もともとシンギンスタイルでアフロビートと相性いいのは間違いないとしても、ここまでビートに対して最適解を出し続けられるラッパーがどれだけいるか。あとアフロビートといっても当然グラデーションがあって、きっちりアルバムとして聞かせるための緩急が用意されているのが好きだった。あとはbpm plus asiaが噛んでいることもあって、タイやインドネシアのアーティストがいくつかfeatで参加しているのもアクセントになっていて良い。特にtlinhが参加した”蜜蜂”が好きだった。

Gold by Cleo Sol

 これが今週ベスト。いや人生ベストかと言いたくもなるCleo Solの新作。こないだ出たばかりなのにほぼ連作といってもいいペース。そして連続で出るレベルではない異常なクオリティの高さで本当にびっくりした。前作に引き続きInflo、Cleo Solは普遍的な音楽のかっこよさを追求しており、それが極まりすぎて聞いてて泣きそうになってしまう。。。(1曲目は’”There Will Be No Crying”だが)こういう作品に出会うとストリーミング時代で雑多なリスニングを繰り返しているなかでも結局これよな〜と思うし音楽聞いてて良かったと感じる数少ない瞬間。好きな曲はStevie Wonderの”Golden Lady”っぽさをめっちゃ感じる”Life Wille Be”

RIP Human Art by EARTHGANG

 EARTHGANGの新しいEPはジャケットと内容が全く比例していない比較的メロウな仕上がりでとても好きだった。もともとアルバムでリリースする予定だったものをバラして3枚のEPでリリースすることにしたらしく、その第一弾となっている。Spillage Villageとの共同名義になっているけどコレクティブからの参加はBenjiのみ。ギターの生音を使っているのが特徴的でかっこいい。あとリリックを読んで、こんなにリリカルなのかと今更知った。他の作品もちゃんと聞けていない気がするので、Spillage Village、Dreamville周りを改めて聞いていこうと思った。好きな曲は”Die Today”

Registration by OXYNOVA

 YNG & RICH Recordsに加入し、レーベルアルバムでも大きな役割を果たしていたOXYNOVAのアルバムがリリース。オーセンティックなかっこよさを持ちながらもトレンドを抑えたシンギンスタイルもできる器用なラッパーで今回もかっこよかった。あとインスタで機材じゃなくて音楽作る楽しさが大事って話をしていて好感を持った。→リンク 好きな曲はダブステップっぽいビートでChillin Homie,KHANとかましまくりな”ICU”

street love by Street Baby

 Leellamarz、NSW yoonとの共作アルバム『DAYDATE』の記憶も新しいStreet Babyのアルバムがリリース。声が特徴的でこれがハマるかどうかが踏み絵になっている。正直前半を中心してメロディ系のビートはしんどくて、声が飛び道具すぎるとfeatuting王にはなれるけど、アルバム全体となると難しい気がした。だがしかし!”high note” から始まるロートーンのハードコアなスタイルはめちゃくちゃハマる。。。最近こんだけどストレートなトラップも聞かないので逆に新鮮だった。韓国だとメロウスタイルに引っ張られてしまうのは分かるけど個人的にはストロングスタイルを貫いてほしい。

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