2015年7月4日土曜日

ラブ&ピース



園子温監督作品ということで見てきました。
新宿スワンも園監督でしたが、脚本が別だったのに対して、
本作は脚本もその監督ということで
完全なるA SONO SION'S MOVIE!!
原作なしのゼロベースなのは地獄でなぜ悪い以来だったので、
とても楽しみにしていました。
見終わったあと、なんやこれー!と思わず言ってしまう。
新境地と言っていいと思うんだけど、
内容自体は「ラブ&ピース」
タイトルどおり、愛と平和を描いた童話で、
かなり好き嫌いハッキリ別れるだろうなと。
主人公は長谷川博巳演じる鈴木良一。
彼は音楽が好きでロックスターになることを夢見ている。
けれど実際は気の弱いサラリーマン。
周りからはバカ扱いされ、自らも卑下しまくりの人生。
そんな彼が亀を飼い始めたことで
運命の歯車が動き出し…というお話。
冒頭いきなり田原総一郎のニュース番組が始まり、
コメンテーターに水道橋博士や津田大介さん等が登場し、
なんなんだ!と思いつつも映画が始まります。
前半は鈴木がいかにダメなやつかが描かれ、
トイレの落書きとか園監督作品見てる!って感じだし、
テンポ良く展開していくのが心地いい。
誇大妄想家につき」 と思わず言いたくなる、
亀とのくだらない人生ゲームごっこは見てて悲しくなる。
その亀を誤ってトイレに流し絶望に明け暮れる中、
亀を惜しむ歌を鈴木が作リ出します。
その一方で亀は下水道に住む謎のオジさんに拾われ、
鈴木の願い事を叶える力を身につける。
(叶える代償として亀の体はどんどん大きくなる)
こうして鈴木はロックスターへの道を着実に歩んでいきます。
トイレに亀を流しちゃうところは、
トイレの渦に亀が飲み込まれる 画を
繰り返してくるから、めちゃ笑ってしまいました。
大きなテーマとして物質社会に対するカウンターという
意味合いが強くて、その槍玉として上がっているのが、
2020年に開催されるオリンピック。
過去を見つめ直すこと無しに、
昔と同じような形で物質で豊かになれるとでも
思っているんでしょうか?ってな具合です。
このテーマを鈴木の成り上がりと、
下水道に住むオジさんのところに集う、
捨てられらたオモチャ、動物で描いていくという作り。
後者のオモチャ、動物のくだりで
乗れる/乗れないが決まると思います。
完全にメルヘンの世界なので…
ただやはり園監督作品なのでMADNESSは健在。
事態がどんどん大きくなるにつれて、
亀もどんどん大きくなるんだけど、
なんか気持ち悪いんだよなー(褒め言葉)
スターへの道を歩む鈴木は
過去の自分はどこへやらで調子乗りまくり。
この2面性を長谷川博巳がキッチリ演じきっていて、
コメディセンス抜群だなと思いました。
彼の恋の相手である麻生久美子は
いつだってkawaiiので無問題。
話全体には乗り切れないところもあったけど、
それぞれの落とし前の付け方が好きで、
あふれきった欲望のなれの果として、
巨大化した亀が東京の街をぶち壊していく
っていうのは痛快だったし、おもちゃの方は切なくて…
鈴木が元の部屋に戻り、麻生久美子が駆けつけて、
というキレのよいエンディングも良かったです。
一概にはオススメしにくいですが、
園監督の新境地として劇場で目撃すべき!

0 件のコメント: