2023年8月2日水曜日

2023年7月 第4週

UTOPIA by Travis Scott

 今週はすべてこのアルバムがかっさらっていった。幕の内弁当スタイルで全部マシマシみたいなアルバムになっていて興味深かった。この構成はKanye Westの『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』を想起するし、サウンドデザイン的には『Yeezus』などを想起させられた。Kanyeの偉大さが逆説的に証明されたところがある。もともと先行シングルの”K-POP”のアジアを舐めた態度が気になり、あんまり乗れないかなと思ったけどシンプルに音の鳴りの異次元さとかっこよさで完全にくらった。74分もあるのでまだまだ咀嚼できてないことも多いし、年月が経つことで評価が変わってくるだろうアルバムだと思う。好きな曲はトラップの化身らしからぬスクエアなビートが意外な”MODERN JAM”

Everybody’s Good? by Black Milk

 前から大好きなビートメイカー、ラッパーのBlack Milkのニューアルバム。今作も間違いない内容で最高だった。bandcampのクレジット見ると生音使いながらのプロダクションのようで音がリッチ。ドラムがヒップホップの太いやつで上音がバンド的アプローチなのでSTUTSとスタイルが近いと思う。リリックもフレックスというよりもリリカルなスタイルでかっこいいし、FeatもKarriem Riggins, Mick Jenkins, Phonte, Raphael Saadiqなど渋いメンツで信頼できる。好きな曲はかっこいいベースとラウドなシンセが鳴り響く”Downs Got Up”

Never In My Wildest Dreams

 SNSで知ったラッパー。ロンドンベースらしく、今かっこいいものは本当にUKにぜんぶ集まっている感じがいつもする。いわゆるオルタナティブなスタイルでタイラーやアールを彷彿とさせるラップとサウンドがかっこいい。特にサウンドはかなりバリエーションに富んでいるのでずっと聞けて良かった。好きな曲はがっつりラバーズな”210 Breezy”

Missed Calls by Peter Bark

 インストをたくさんリリースしているInner Ocean RecordsというLo-fiヒップホップレーベルがあり、そこからリリースされたPeter Barkのアルバム。NYブルックリンを拠点に活動しているビートメイカーらしい。ローファイ系は玉石混交でゴミみたいな紋切型のそれっぽいものがたくさんある中で彼のビートは独自の色があってオモシロい。エレクトロ、アンビエントを通過しているけど、しっかりドラムが鳴っているところが好きだった。家族でいるときや読書中に重宝した。

Patchwork by catch92

 こちらはUKのビートメイカーcatch92のアルバム。Peter Barkと同じく彼なりのビートの色があって好きだった。特に展開がきっちり用意されている点がかっこよくて基本のループの上で上音が変化していく感じ。メロウなのがとにかく最高に気持ちいいのだが、日本だと鬼のワンループの美学が結構根強くある中、音色で雄弁なビートアルバムを作っている点が良かった。ローファイにしてはテンポが速くてボイスサンプルもかっこいい”Shuffle”が好きな曲。

Virtuoso by Valee & Harry Fraud

 Curren$yとHarry FraudのコラボEP出たときに関連作で知った。Valeeはシカゴのラッパーで元はKanyeのGOOD MusicとサインしててKanyeがexecutive producerを務めたEPもあった。Harry Fraud印のごりっとしたビートもありつつ、メロウで洒落たビートもあったりで彼の引き出しの多さに驚いた。そういったビートとValeeの力の抜けた感じのラップが良くて夏にダラダラ聞くのが最適。シカゴコネクションでTwistaが参加している曲もクソかっこいいのだが、やはりハイライトはSaba,MAVIを招いた”Watermelon Automobile” 外装が緑、内装が赤のベンツを「スイカ自動車」と呼ぶあたりのリリックセンスが最高。

Curly by Terrace Martin & Curly

 Terrace Martinがハイペースでのリリース。父でありドラマーでもあったCurly Martinnが亡くなってしまい彼に捧げるプロジェクトらしい。既存曲がいくつか収録されていて、再度録音したものなのもしくはバージョン違いっぽい。いずれもStraight aheadなジャズの曲が収録されていてかっこいい。Kendrickの”How much a dollar cost”のジャズ解釈バージョンが好きだった。

bAd attitude by bAd

 元VMC所属のODEEとoygliによるユニット?のbAd atによるEP。ビートは同じく元VMCのHOLYDAYが担当している。ジャケからするともっとメンバーいるのか…?VMCという看板はいい意味でも悪い意味でもオーセンティックなイメージがあったけど解散後はそういう先入観なく各MCの表現したい世界観がよりクリアになった気がする。oygliはBeenzinoのアルバムにも参加していたりして最近ホットなMC。Kid Milliとかに近いスタイルで抑えたクールなラップがかっこいいし、声が特徴的なODEEとの相性はバッチリ。好きな曲はChief Keefオマージュな”Don’t Like”

Canopy by MODO

 Paloaltoのインスタで知ったラッパー。彼曰くSoulequliensのバイブスを感じるとのことだったが確かにそのとおりでかっこよかった。若いラッパーでこの手のビートでラップしてアルバム作っていく姿勢に感銘を受けた。FeatにKhundi Panda、CHOILBというDejavuコネクションを迎えているから、今後Dejavuに所属することがあるかもしれない。好きな曲は”STAINED!kid”

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