2023年7月27日木曜日

2023年7月 第3週

 毎日新譜をチェックしているのだけど若干疲れ気味で最近はUK R&Bを聞いている。Juicy 3というディスクガイドが手元にあり、それを見ながら聞いているのだけどもUSよりも音楽的にマチュアなものが多くて楽しい。抜けはあるとはいえ過去のアルバムがアーカイブとして聞き放題というストリーミングサービスの偉大さを痛感した。あとは各所で話題のBushmindのNew mixもかっこよかった。BPM93で串刺しにされたVarious music, 48分の音楽旅行みたいな。ディスクガイドやミックス然り過去の音楽を聞くきっかけみたいなものに敏感でありたい。

FrediCassoISMYPRODUCER by kitsyojii

 歴史上もっともSMTMに翻弄されたラッパーkitsyojii。プロデューサーとのタッグ作品シリーズとしてFredi Cassoを迎えたアルバムでめちゃくちゃ良かった。Fredi Cassoはアルケミとか比較的オーセンティックなビートを作るプロデューサーのイメージがあったのだけど本作のビートのスペクトラムの広さに驚いた。それに対してkitsyojiiの安定感あるラップがうまくマッチしおりレイドバックした余裕を感じた。”Hattori Hanzo”という曲があったり、大ネタ使いの”Rap Money”だったり聞きどころも多い。好きな曲はウェッサイバイブスかつRakonのフックが最高な”AVENUEL”

Alchemy by Disclosure

 急遽リリースされたDisclosureのアルバム。これまでシンガーやラッパーを呼びこんで自身のハウスミュージックを表現していたが今回はfeatなし、かつサンプリングもなし。ダンスミュージックへの原点回帰のアルバムとなっている。なので過去作に比べるとシンプルな作りだけども、その分研ぎ澄まされているように感じられるし集中したいときや自転車に乗るときによく聞いていた。こういった構成のアルバムのリリースする背景にはOvermonoを筆頭にしたUKダンスミュージックの世界的流行があると思うのだけど勘繰りすぎか?(彼らのストイックなダンスミュージックへの希求に影響されたと考えたりしちゃう)好きな曲は”We Were In Love”

Beautiful And Brutal Yard by J Hus

 J Husの3rdアルバム。前作が結構好きだったので楽しみにしていたし実際その期待を裏切らないかっこよさだった。UKのトレンドの中心にあるアフロスイング、ドリルを中心にメロウさとラップのゴリっとした部分のバランスがちょうど良い。Featが超豪華でJorja Smith、ドリル勢のCB,VillzといったUKコネクションは当然のことながらDrake,Burna Boy,Popcaanも参加で、特にDrakeとの曲はマジでキラー。この夏いろんな場面で聞きそう。好きな曲はピアノと終盤のゴスペル&オーケストラ&ハーモニカ展開がめっちゃかっこいい”Playing Chess”

VICES by Curren$y &Harry Fraud

 鉄板コンビのアルバム。もう何回目?という感じではあるけど、いつ聞いてもかっけぇ!となるのが毎回すごいと思う。タイトル通りのMiami Viceオマージュでサンプルソースがほとんど80sでしかもレコ屋のエサ箱にありそうな曲というのがオモシロい。実際にMiami Viceで流れていた曲なのかな?サンプリングマジック炸裂しまくりだし、やはりmixtape世代にとってこの2人のコンビネーションは刺さるのは間違いない。Larry Juneを呼び込んでサックスでバチバチに渋くキメる”Marble Columns”が好きな曲。

HOLLOW by (sic)boy

 (sic)boyの3rdアルバム。比較的ハイペースなリリースでシングル含めて常々動いている感じがする。アルバムで聞くと日本でしか生まれないヒップホップとはこういうことか!という総まとめみたいな仕上がりになっていて良かった。KMのビートの進化は止まらず生音みたいな打ち込みで低音は当然鳴らしまくり、かつEDM的な展開の多さを持ちながらJロックの要素を散りばめる…この緻密な音作りと(sic)boyの声、歌、ビジュアルの合わせ技で若いリスナーは当然のこと、あの頃のJロックに憧憬をもっていたおじさんも完全にロックされました。毎回ニクいのはしっかりラップの曲も入れている点。”(stress)2”とか馬鹿な大人のマーケティング論法ならアルバムに入れないだろうけど、ヒップホップのアルバムだとすれば必須のピースだし、上述のとおり単純なループじゃないのもイケてる。今年屈指の完成度のアルバム、好きな曲は”Ghost Ship”

21世紀の火星 by Q/N/K

 QNと菊地成孔によるユニットのアルバム。これも日本のヒップホップの一つのスタイルであり、既存の日本語ラップの外側からヒップホップにアプローチしたオモシロい作品だった。N/Kのラップをありと捉えるかどうか次第で好き嫌い分かれると思うが断然ありなので好き。この語彙力は今の日本のヒップホップシーンだと宇多丸くらいしかいないと思う。(ビートアプローチはさておきという話だけども…)あとビートはさすがのクオリティで音楽としての強度がどれも高い。そして1曲あたりが長いのもトレンドの真逆でオモシロい。こういう作品は批評によってこそ光り輝くのだと思う。好きな曲は”Life Is Beautiful”

Showy is lit 2 by Showy

 Showyの勢いがひたすらに止まらない。6時間のセッションでできたらしいアルバム。短時間だから、ということに意味を見出したくはないのだけど、Showyの2人についてはこのインスタントさとリフレインが彼らの音楽にとって大切な要素なんだなと思う。特にRENZOのインスタントさが強烈でドラッグ的な音楽としてシーンではトップクラスな気がする。一方でVICTORはRAPSTARで一皮剥けた感じがあって歌詞のオモシロさとバイブスの出し方がとても好き。自分達でビート作ったりMIXしたりするからかレコーディング物としてのかっこよさを感じる。歌詞の情報は少ないけど音としての情報は多いというか。好きな曲は彼らのフッドの神栖市にある観光スポットを冠した”千人画廊”

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