2013年6月9日日曜日

はじまりのみち



東劇という映画館で。
築地と銀座の間にあって、丸の内ピカデリー3みたいな形でした。
いとうせいこうとユースケサンタマリアがMCの「オトナの!」という番組で
加瀬亮、濱田岳がプロモーションで出てたのを
見かけたのが見に行ったキッカケです。

思ってたタイプの映画じゃなくて、とても良かったです。
監督はクレヨンしんちゃんシリーズ等で有名な原恵一監督。
アニメはたくさん作っているけど、これが初めての実写。
映画監督である木下惠介が主人公で
戦争中に母を疎開先へリヤカーで送り届ける映画。
と予告編見た段階では、思っていたんですが
そんなことはなくて、映画の映画でした。
今年公開の「ヒッチコック」が
映画技術を含めた彼をintroduceする作品なのに対して
本作は映画を撮ることの精神的部分。
もっと広げて言えば、芸術全般にも通じるような話なんです。
戦時下で撮りたいものも撮れない歯がゆい状態に耐えきれず
撮影所をやめたあと、どんなプロセスを持って
彼が再び映画を撮るようになったかを丁寧に描いていく。
正直、最初の移送シーンは思ったより単調で
少し物足りなかったけど、宿で一泊してからの展開はもう…最高!
なんといっても加瀬亮よ…
日本の俳優で相当好きな方ですが、今回のでまた好きになりました。
あの独特の憂いというか、何というか。とにかく素晴らしかったです。
母親の顔をふくところとか周りのキャストのリアクションと
同じリアクションを劇場もしてしまうぐらい惚れ惚れ。
濱田岳、ユースケサンタマリア含めた鉄壁の脇役陣もナイスでした。
(光石研が出てる映画は大体ハズレ無しの法則を適用)
映画自体はかなりコンパクトなんですが、
河原のシーン、母である田中好子とのやり取りのシーンが強烈。
号泣メーン!見て欲しいから、詳しく説明しませんが
この2つのシーン見るだけでも多いに価値があると思います。
最後に木下惠介のフィロモグラフィーがダイジェストで
流れるんですが、それは少し長かったかも。
でも、見たくなったし、そもそもこの映画自体が
木下惠介監督作品を見たことが無い人にとっての
「はじまりのみち」になるから必然といえば必然なのかも。
「新・喜びも悲しみも幾歳月」だけ劇中のセリフを聞かせてくれるんだけど
「陸軍」との対比もなるほど!と感心しました。
同時代には黒沢という超偉大な監督がいるから
かすみがちだけど、この作品を見たことで木下作品を見たいと思える
非常に良い映画だと思います。
「二十四の瞳」あたりから、見ていきたい所存でございます。

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