2023年4月5日水曜日

2023年3月 第5週

Hotel San Claudio by Mark De Clive Low, Shigeto, Melanie Charles

 マルチインストプレイヤーMark De Clive Lowとドラマー兼ProducerのShigeto、そこにシンガーのMelanie Charlesが加わったプロジェクト。元は2019年にイタリアで製作したらしくリリースまでかなり時間がかかっている。これには本作でTributeしているPharaoh Sandersの死去も影響してるのかもしれない。男性2人が日系ということもあり曲名に”Bushido”, “Kanazawa”などの日本語が使われており親近感が湧く。セッション系でいろんなタイプの曲が入っているのだけども、やはりPharaoh Sandersの”Love Is Everywhere”のカバー?再構築?した曲が好きだった。朝方のクラブのフロアで聞いたら最高最高だと思うよ。

The Infamous Live by Benny Reid & Havoc

 Mobb Deepの大傑作”The Infamous”のインストカバー集。Havocのお墨付きでYoutubeでインタビューも出てた。Benny Reidはマルチインストプレイヤーで全楽器を1人で演奏している。Shook Ones Pt.IIのカバーはこんな感じ。

 本作はFat Beatsの企画でBennyはそれに呼ばれる形で参加したらしい。この手のカバーのとき、いつも気になるのはドラムでそこが甘いとガッカリするが、そこはさすがFat beats & Havocでしっかりヘビーに鳴っていた。90sのアルバムの中でそこまで思い入れはある方ではないけど、やっぱ”Give Up the Goods”, “Shook Ones pt. II”はいつ聞いても首が振れるやーつで最高。

Leather Blvd. by B. Cool-Aid

 今週一番聞いていた。Pink Siifu & AhwleeによるユニットB. Cool-Aidの最新アルバム。okayplayerのインタビューで「ネオソウルのレーンはガラ空きでオレらがもらった!」的な発言をしており、その言葉のとおり彼らのスタイルでネオソウルオマージュなヒップホップサウンドを作り上げていてめちゃくちゃかっこいい。ファンキーな生音のサウンドが心地いいしループに閉じずアレンジで開かれている、なおかつリズムパターンも色々あって飽きない。とりあえず流しておくには打ってつけのアルバムだった。好きな曲は選ぶの難しいけど、やっぱビート太めが好みなので”Cnt Fk Around”

The Great Escape by Larry June and The Alchemist

 Larry JuneとAlchemistのコラボアルバム。双方とも勢いに乗っている中でのリリースなので相当期待値が高い中でそれに見合う素晴らしいヒップホップアルバムだった。レイドバックしたLarry JuneのスタイルとAlchemistの最近のビートレスなスタイルの相性が抜群でゆるっと聞ける。客演陣も1mmも隙がないというか人気取りではなく良い曲を作るためのメンバーという構成で最高。ただAlchemistのこのスタイルは正直飽きつつあり、Larry Juneの一つ前のアルバム『Spaceships on the Blade』が個人的には大傑作だと思っているので…好きな曲はどストレートなソウルサンプリング風な”What Happened To The World?”

LITRON by Showy

 現在RAPSTAR誕生で勝ち上がっていることも話題のShowy Victorと前回出場で勢いに乗っているShowy RenzoによるユニットShowyの新しいEP。2人になるとそれぞれの良さが引き立って各自のソロを聞くより全然好きだった。Renzoは手癖のメロディがあるように感じるもののVictorは結構引き出しが多くさらに2人が組み合わさることフレッシュになるみたいな。シンプルで享楽的な歌詞なんだけど視点とか言い回しのオモシロさもあるので聞いていて楽しい。好きな曲は”Double” オレの前じゃ全部がMeaning!!

RAPNAVIO by 梅田サイファー

 梅田サイファーの新しいアルバム。これまでの作品で一番好きだった。大人数のグループなので色んなことが起こってきただろうけど、結果的には各自の色がくっきり見えるようになり、まとまっていて聞きやすかった。1曲目がまさかのメロウドリル!でもうここで持ってかれた…Leella Marzの”Selfish” オマージュだと思うけど、このノリが日本でも流行ってほしい。  いろんな音楽のインプットがあってのアウトプットだと感じる曲が多くてそこも好きなポイントだった。ほぼ全曲をテークエムがHookを担当しており、ポップギリギリのラインを突いている感じがして良かった。R-指定はJっぽさの強いHookよりとにかくラップを聞きたいという個人的願望も達成されており彼のスキルを味わえて言うことなし。色眼鏡なしに村に受け入れられる日が来ることを祈ります。もう村はないと思っているけど…

Make U Dirty 2 by MUD

 KANDYTOWNが終結し一番最初にリリースされたのはMUDのソロアルバム。骨太サウンドといつもどおりなMUDのラップが心地よかった。リリックに関して「何にも言っていない」とか「同じことばかり言っている」といった批判を見透かすように進化が見れたのも嬉しい点。日本でかますのが大前提とした上で英詞リリックもあったりで挑戦していることも多い。彼のジャパニーズイングリッシュについて発音やスラングを飛び越えた音楽としての魅力があるように本作では特に感じた。好きな曲はback in the daysな “Yellow Monkey”

Forward March by Tade Dust

 RAPSTAR誕生でも勝ち上がっているTade DustのEP。王道UKドリルな内容で今の気分に完全にフィットしているのでとても好きだった。先行で出ていたBonberoとのUKガラージな”Life goes on”のポップさも最高でバランスがよい。リリックも変に英語寄せの無意味なリリックというわけでもなく、日本語でビートにきっちりはまっているし言いたいことがちゃんと伝わってくるリリックなのがかっこいい。好きな曲はascii & Taxonによる共作ビートがたまんない”Chapete 1” UKアクセントの件は ”We higher”Blaseオマージュ?(それともUKに大元のネタがある?)

P.O.E.M. IV : Tyler Durden by Owen

 ハンパないリリースペースでアルバムを出し続けているOwenの新作。P.O.E.M.シリーズの4作目となる。去年のアルバムもかなり好きだったのだが今回は特にぶち抜かれた。タイトルにあるTyler DurdenはFight Clubの登場人物の名称であり、Interudeを境に陰陽が転じるコンセプチュアルな仕上がり。サウンドとしてはピアノの多用が目立ち、そこが個人的にはツボだった。特に後半が好きでその中でもブレイクビーツ、ピアノ、ベースのシンプルな構成でセルフラブを歌う”Love yourself”が一番好き。

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