2023年3月13日月曜日

2023年3月 第2週

Life is So Good 2 by Gerardparman

 現在のシーンにおけるキービートメイカーであるGeraldparmanの新しいアルバム。期待して聞いてみたら、その期待をはるかに超える仕上がりでとても良かった。1、2曲目が今回のアルバムを象徴している。1曲目はAru-2との共作のインスト。ビートパターンはドリルなんだけど、質感はAru-2であんまり聞いたことないタイプのビート。同じような形でLeeとの共作ビートもあり、これらは彼なりのビートメイカーとしての矜持を感じる曲で単純なタイプビートメイカーではないことが分かると思う。そして2曲目の”Power”はバトルMCとして認知されがちな4人を集めたマイクリレー。いつもの仲間たちとかっこいい曲を追求するのもいいけど、こういう風にビートとラッパーの組み合わせで意外性を見せるのはプロデューサーとしての矜持を感じた。なかでも烈固のイメージがめちゃくちゃ変わった…こんなにラップうまいと一度も思ったことなかったので完全にマジックが起こっている曲。いつメンのColte、Disry、ベゲfastman人などとの曲はもちろん最高なんだが一番好きな曲は”Bando” Easta,Yvngboi Pの魅力がふんだんに詰まってた。

ZION VII by 9th Wonder

 9th wonderのビート集。毎回えぐいボリュームの曲数なことにびっくりする。昔はオールインストだったけど、ここ三作は前半EPみたいな感じで特定のアーティストをフィーチャーしていて、そこが聞きどころ。今回はAmber Narvanというシンガーがフィーチャーされていて素晴らしかった。歌い上げではないBreezin'系で完全に好きなタイプ。USではこのレベルのアーティストがゴロゴロいるあたりが格の違いを感じる。好きな曲はサンプル使いに懐かしさを感じる”Be Mine”

Gumbo by Young Nudy

 ジャケが気になって聞いたら良かった。21 savageの従兄弟らしく彼がイミグレ問題で揉めたときにも一緒にいた模様。ATLのラッパーだけどもニューオーリンズのソウルフードであるGumboを題したアルバムとなっている。(曲名も食材ばかり)ATL系のヘビーなトーンの量産型トラップミュージックではなく音楽として聞けるアルバムなので好きだった。好きな曲はシンセの上音が気持ちいい最後の”Passion Fruit”

Lotus Glow by Adi Oasis

 友人のインスタのポストで知った。完全に2023優勝案件。自分の中で定義される好きなタイプの音楽が網羅的に収録されており、何年かに1回あるかないかの傑作だと思う。ブルックリンベースのフレンチカリビアンのアーティストなんだけど、70年代の黄金期のソウル、ファンクを彷彿とさせるメロウネスは満タン。バンドの生な音と彼女の声の相性が堪らなく素晴らしくてブラインドで聞かされると今年リリースとは思えないかもしれない。だからといって古びた音かといえば全くそんなことはなく2023年のソウルミュージックになっている。彼女はもともとベースプレイヤーで基本ベース弾きながら歌っているのもめっちゃかっこいい。好きな曲は全部と言いたいレベルなのだけど、ブリブリのベースが気持ちいいLeven Kaliとの”Naked”

FORWARD by Jordan Ward

 2023優勝案件が今週のうちに立て続けに起こっている異常事態。LAベースで元ダンサーのJordan Wardによるアルバム。なんと最近音沙汰なかったLidoが総合プロデューサーを務めているので、もうビート全部が大好き…1曲もハズしがない。本当に今週は朝から晩まで聞きまくっていた。どんなシーンにもフィットするバラエティ豊かなサウンドと彼の素晴らしい歌声。Lidoのサウンドは昔はもっとドラムを筆頭に詰め詰めで突っ込んでいた印象があるけど、かなり大人仕様というか洗練されている。今年のR&Bのアルバムでこれを超える1枚は出ない気がする、そんくらいの傑作!好きな曲はこれまた全部と言いたいレベルだが、”FANJAM4000”の圧倒的なポップさがやっぱり最高だと思う。

All Season Gear by Ivan Ave

 Ivan Aveの最新作。毎回ゆるいムードのトラックとタイトなラップで好きなラッパーの1人。ノルウェーのオスロベースながらワールドワイドなコネクションがある。日本だと去年のMitsu the beatsのアルバムにも参加していたのが記憶に新しい。今回も超メロウでタイトルどおりAll season対応だけど、夏に部屋で聞いたら3℃くらい温度下がるのでは?という音とラップ。ビートも自分で作る人であることを今回知って驚いた。セルフプロデュースはもちろんのこと、盟友Mndsgnも参加しているし、あとFeatに大好きなChildren of Zeusが参加しているのもアツい。

College Park by Logic

 引退した余生みたいなノリでアルバムを作り続けるLogic。前作でDefJamとの契約が終了し今作はインデペンデントでのリリースとなる。2011年ごろの何者でもないころがアルバムのテーマであり、仲間とのライブに向かう道中の寸劇含めてアルバムで聞くことに意味がある構成でオモシロかった。リリックにそれほどスラングがないので意味が取りやすいし、めちゃくちゃラップうま〜というのはいつものこと。FeatにRZA,Redman,Norah Jones, Bun B, Lil Kekeなどのバラエティ豊かなOGを好きなように呼んで曲を作っているのがかっこいい。商業性よりも音楽に奉仕している姿勢を感じるから。JoeyとのODBオマージュな”Shimmy”が好きな曲。

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