2023年3月2日木曜日

2023年2月 第4週

Prize by Rozi Plain

 SSW系は掘り出したらキリないので、ノータッチなことが多いけどUKブリストルと知って聞いてみたら、めちゃくちゃかっこよかった。どの曲もギターポップにシンセの音が載っている感じなんだけど、このシンセのコードやメロディがとにかくたまらない。これかけながら春になる街を散歩すれば嫌なこともすべて忘れられそう、そんな音。Featで参加しているAlabaster dePlume は同じくUKのサックスプレイヤー。ダビーなエフェクトをかけたサックスと彼女の曲の相性はばっちり。フォークにカテゴライズされているけど、こんな前進的な音楽もあるのかと勉強になった。昔のアルバムも聴いていきたい。

Art Make Love by 30/70

 今週一番聞いていた1枚。オーストラリア、メルボルンベースのジャズファンク/ネオソウルバンド。ジャズで現行ダンスミュージックを構成していて、そしてそこに粘りのあるディーバなボーカルが載っている。こういうのは大好物だし色んなタイプのビートが入っているので聞いてて飽きない。なかでもリリースタイミング的にもビート的にも明らかにDillaオマージュな”Jay Luv”が好きな曲。めっちゃベタだけど。

Good Vibes by OH NO

 Madlibの弟、OH NOによるビートテープ。Roy Ayersの初期作品のサンプリングらしい。ビブラフォンだけでなく他の楽器も重奏的に鳴っておりかっこいい。サンプリングマジックを信じている古い人間なのでこういうのはアガる。ピアノループが最高に気持ちいい”Band Jukes”も捨て難いが、好きな曲はブラジリアンっぽいテイストもある“Jungle Developments”

Pressure Makes Diamonds by CAMO

 Simon Dominicを迎えた”Wifey”が個人的には印象に残っている韓国のフィメールラッパーCAMOの1stアルバムがリリース。本作はFeatやプロデューサーなど含めてしっかり準備してリリースされているなという素晴らしい完成度のアルバムで繰り返し聞いている。ポップにいきすぎないギリギリのバランスを狙っていると思うし、先行シングル ”MAPSI”が808 Mafiaがプロデュースってだけでどのくらい本気か分かる。実際その曲が最高の笛トラップで一番好きだった。Featも各人すばらしくAwichが参加してるのもアツいし意外なところではLoopyも参加していてバラエティに富んでいて良かった。

Magnolia by Okonski

 TLで見かけたジャケに惹かれて聞いてみたら素晴らしかった。朝、子どもにご飯を食べさせるときや夜本を読むときによく聞いた。Okonskiさんがピアノプレイヤーで彼が主体でベース、ドラムを加えたユニットらしい。全員Durand Jones and the Indicationsに所属している。スタジオで夜な夜なインプロで作ったとは思えない曲の数々は落ち着きたいときにぴったりだし長く聞けるアルバムだと思う。最初のレコーディングで作られて本アルバムの原動力になった”Sunday”が一番好きな曲。是非とも日曜日の夜に聞いてほしい。野村訓市氏の”Traveling Without Moving”でいつかかかると思う。

Real Cultural by Channel Tres

 アルバム出るのかと思いきやEPがリリースされたChennel Tres。LAベースでヒップホップインスパイア系のダンスミュージックという点ではKaytranadaと重なる部分もある彼だが、本作でも1曲目以外はすべて四つ打ち。ゴリゴリのディスコチューンの”Just Can’t Get Enough”がとても新鮮だった。ただ好きな曲はガッツリハウスの”All My Friends”

Love Sick by Don Triver

 Travis ScottのCACTUS JACK所属のDon Triverがアルバムをリリース。前作からそのラップというよりも音楽的な豊かさに惹かれていたが、本作はまさにその方向を強化した作品でとても好きだった。LOVEがテーマということもありメロウネスがアルバム全体に漂っていて通しで聞きやすい。The Neptunesのシグネチャーサウンドをサンプリングした”4 ME”はぶち上がるし、James Blake,Charlie Wilson, Toro y Moiといったメンバーの参加も音楽的強度が高いと思う。似たようなトラップ並べただけみたいなアルバムはもう聞けないので、こういうミュージシャンシップに溢れていて、なおかつヒップホップベースというのが一番好きかもと思わされた。一番好きな曲はBoi1daがProduceしたボーカルサンプルベースの”Do It Right”

One of A Kind by Russ Millions

 UKドリルまでディグできてないがたまにジャケで引っかかったのは聞く。国内有数のドリルディガーであるMr.Pug氏のインスタのストーリーで知った。こういうの家で聞いてもあんまピンとこないのだけど、移動中に聞くとぶち上がるというのが個人的にはある。ドリルは日本や韓国でも人気が出ているので、それらを聞くのが精一杯。こういったUKのオリジネーターまで聞けてない。だけどこうやって改めて聞くとリファレンスは完全にUKもしくはNYなんだと感じた。トラップよりもビートの刻みが多く打楽器としてのラップと相性がいいのでたくさん聞いても飽きないのがドリルのいいところ。好きな曲はスネアの音が気持ちよく低音ブリブリの”Salute” この曲に参加してるYV、BUNIが周辺人物で3人による”Reggae & Calypso”も特大ヒット曲っぽいし、アルバムのオープニングをかざる”6am in Dubai”も同じくでめっちゃかっこいいので新曲はチェックしていきたい。

Who Are You When No One Is Watching? by Braxton Cook

 Okayplayerの新譜紹介で知ったアルトサックスプレイヤーでありシンガーのBraxton Cook。1曲目が全く好みのテイストではなく最初聞いたときすぐ聞くのを止めたけど、やっぱり最後まで聞いてみようと思って聞いたらアルバム全体としてとても好みだった。木を見て森を見ずというか、すぐに分かった気になるのは本当に良くない。本職のサックスはもちろん素晴らしいのだけどボーカルもセクシーでかっこよい。似たようなスタイルのMasegoと共鳴した”90s”のビートの歪さと終盤の重厚な展開が最高なんだけど、結局一番好きなのはネオソウルバイブス満タンの”Statistics”

20 by Yvng Patra

 Yvng Patraのニューアルバム。RedbullのRasenや03 perfomanceで見ていてたけどアルバムを聞くのは初めて。むちゃくちゃかっこいい…これでまだ20歳だなんて末恐ろしい。先週のラップスタア誕生でも言及されていたけど、スキルは当たり前になっているのがよく分かるし彼自身も曲の中で「スキルは最低限だろマナー」と1曲目の”Flawless”で宣言している。リリックもパンチラインやリアルトークを聞かせてくれて聞き応え十分。しかも20曲57分を楽しませてくれるアルバムとしての仕掛けがたくさんあって聞き終わった後の満足感はかなり高かった。シングルでバズ狙うのもいいけど、こういう骨太の作品がたくさん増えてほしいと思うおじさんです。好きな曲はYammie Zimmerの硬質なビートに大神が参加している”Silent Cook”

THE SIGHT by 黒衣

 久しぶりに黒衣が東京でライブをするということで見に行った。このEPがかなり好きだったので収録曲をたくさん聞けて嬉しかった。びっくりしたのは梅田サイファーのKenny Doesプロデュースの新曲2曲。四つ打ち、トラップと今までの黒衣と違う基軸をこのタイミングで打ち出すのもオモシロいし単純にトレンドをなぞるのではなく黒衣の曲になっていた点に驚いた。次の作品も楽しみ。

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