2024年4月13日土曜日

Go-AheadZ Day 2 雑感

 コロナ明け以降、韓国ヒップホップのアーティストのライブを見れる機会が増えて、ついにフェスが開催されると聞いて足を運んだ。日本と韓国のヒップホップのトップどころのアーティストを一度に召喚するスタイルで両方ともガチで追っている身からすると最高のフェスだった。ただ需要はあるのかという一抹の不安が…ストリーミング世代の若い人は垣根なく聞いているとはいえ、これでどれだけお客さんが集まるのか。市場はどんなもんだい?というスケベ心を携えつつ会場に向かった。

 朝から参加できる体力もないので、午後から参加。幕張メッセのフェスでの客入りがどの程度が適正か預かり知らないが正直かんばしくない感じだったかなと思う。見る側としてはめちゃ快適だったけども演者側は苦労したかもしれない。ヤンキーの男性がたくさん、あとはKポップ勢の女性がいてとにかく皆若い。自分の加齢をひしひしと感じつつJay Park御大のWONSOJUのソーダ割りをひたすら飲みまくっていた。

 日韓のアーティストを交互に組むタイムテーブルで人の好みが細分化した時代に未知なものを楽しめる人がどれだけいるのかと勘繰っていていた。しかしそれは杞憂であり若い人たちは柔軟で客層はそこまで入れ替わることなく盛り上がっていた。韓国勢はボーカルの被せなしのストロングスタイルが基本でお客さんを盛り上げるライブ力、エンタメ力がかなり高い。Changmoは圧倒的なラップと歌の力でひたすら歌い続ける力強いパフォーマンスだったし、Lee Young-jiはSMTMで優勝した理由がよく理解できた。音源とライブの乖離のなさに加えてステージングが相当完成されていた。そしてDynamic Duoはベテランの立ち振る舞いでぶち上げまくり。DJをフィーチャーしたオールドスクールなスタイルかつラップは超タイトだった。特にGaekoはラップがクソ上手いの知ってたけど歌も死ぬほど上手くて完全にGOAT。pH-1もSprayを連れて先輩のスタイルを継承するかのようでアツかった。最新アルバムの曲多めなのも個人的には嬉しかったところ。

 日本勢だとralphのライブは異次元で古参うるさ型日本語ラップクソオタクリスナー全員をkillするクオリティだった。あとはKaneeeの華。ヒップホップの枠とか関係なくスターになる人だと見た瞬間に思うレベル。こういう才能がヒップホップに集っていることが今のシーンの豊かさに繋がっているのことを痛感した。舐達麻のライブを見れたことも大きなトピックだった。Beef以降ライブを結構キャンセルしてる中で見れたのは貴重な機会であった。彼らの曲は比較的内省的であり文学のような曲なので、デカい会場で皆で聴くのにはあんまり向いていないのかもしれない。一番人が集まっていたけど、皆がカメラを構えて何か起こるのを待つみたいな空気だった。例の曲はやらなかったので、もうBeefも終焉だろうか。¥Bは時間の都合で見れず無念…

 ざっくばらんだけど、韓国ヒップホップ好きとしてはかなり楽しめたし合間で現行の日本のヒップホップ最前線も見れたしでお買い得ではあった。もし今度やるなら、もっとアーティスト同士の交流が進み有機的なコラボが実現するケースが増えてから開催して欲しい。(この点についてPop Yoursはかなり意識的に取り組んでいる)この日も会場でDJ CHARIが”GOKU VIBES”を流していたが、あの曲は日韓コラボの一つのメルマークとして機能するはずが、あまりにヒットしたがゆえにそういった語られ方が無くなってしまった。Elle以降のバースはないものになっている場面を多く見る。またコラボという観点では日本のヒップホップの外交官であるJP THE WAVYを呼んでSik-K、Kid Milliを呼ぶという選択肢もあったはず。

 直近あったデカ案件でいえば、ASHISLANDとちゃんみな、IOとGRAYなどがあるが、ビジネス案件に見えてしまってそこまで乗れない。ちょうどいい塩梅を模索していけば、もしかすると1曲で何かゲームチェンジが起こるかもしれない。実際オーバーグラウンドではBIMがGRAY、Coogieとのセッションを公言していたり、socodomoの次のアルバムにLEXが参加している模様だし。アンダーグラウンドではTade Dustがドリル勢と交流しているし、NSW YOONがなぜか和歌山勢と急接近していたり。だから何かが起こる予感はある。その前夜のフェスとしては悪くなかったはず。日韓のヒップホップの未来は暗くない。

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