2022年4月18日月曜日

LIFE SHIFT

 

LIFE SHIFT/Andrew J Scott and Lynda Gratton

 友人からレコメンドされたので読んだ。定年が65歳に延長されたり、見た目と実年齢が以前よりも一致しない(つまり若く見えることが多い)ことなど、何となく思っていた印象が長寿化によるものだと言語化されている1冊で興味深かった。

 65歳で仕事やめて年金暮らしが今の社会で想定されていたとしても「そうは問屋が卸しまへんで」と過去のデータや予測に基づいて説明されている。教育/仕事/引退という3ステージで生きることができるのは今のお年寄りまで、今後は教育や仕事の初期に身につけたスキルだけで生きていくことが難しいというのは身につまされる話。

 人間は楽観的で短期的な視点しか持てないので社会全体が変わっていくのは非常にゆっくりだけど、個人としては長寿化する社会に備えなければまずいよと繰り返し警告されるので何かせねば!といういい意味での焦燥感、やる気を促してくれた。

 本著の中で一番多く説明されているのはお金のこと。当然先立つ物がなければどうにもならないので当然といえば当然なんだけど、自分が考えている以上にシビアで痺れる。長く生きる=お金が必要、考えてみれば自明ではあるものの、働く期間と余生の期間のバランスの取り方で年間どれだけの金額を貯蓄していく必要があるのか?3人の世代が異なる架空の人物を設定してモデルケースとして説明されるので説得力があった。

 お金や不動産のような有形資産も大切だけど、それと同じくらい無形資産も重要だというのが本著の肝となる主張。「お金だけで幸せにはなれない」といったポエジーではなくスキル、友人関係など目に見えないものが人生に思った以上に寄与しているのだと論理的に主張している。本著内で何度も出てくるrecreationではなくre-creationというフレーズがわかりやすい。余暇を受動的に過ごすのではなく能動的に何か学んだり作ったりして自分の人生/キャリアに変化をもたらさないと長い人生をやっていけないと。完全に受動的余暇でしか生きてないことにうっすら気づいてたものの放置してきた人生なので少しでも自己研鑽したいと思う。

 長寿化で要求されることが様々列挙される中、新しいものを受け入れる柔軟さ、相性のいいものを選択する能力、この2つが本当に必要だなと実感できた。こういった能力が自分の中にあるのか、内省することも合わせて必要だと言われており他人の事を気にする暇あるならDo my thingだよなという結論に落ち着いた。

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