韓国のヒップホップシーンの一種の登竜門的な役割を果たしているRAPHOUSEの日本版が開催されるということで渋谷のO-westまで見に行ってきた。韓国のラッパーによるショーケースは近年日本で増えつつあるものの、深夜帯だったりして見に行けないこともある中、デイタイムで一種のフェス的にいろんなラッパーが見れるRAPHOUSEのようなフォーマットは大変助かる。なので、継続して開催してほしい。
今回は日本開催ということで日本サイドのラッパーも合わせて参加、計6組のライブで構成されていた。先に日本サイドの話をすれば、Rude-α、チプルソ、LIBROが出演しており、こんな独特の並びで見れることはなかなかない。三人ともそれぞれのベクトルでライブ巧者であり、さらに共通点を挙げるとすれば、ラップのグルーヴが挙げられるだろう。音楽的な成分が高いほうが、言語の壁を超える可能性が高いと考えれば、この人選に納得感はある気もする。
なかでもチプルソのライブは今年見たショーケースのレベルとしては最高クラスだった。この日の客層からして自分のことを知っている人が少ないことを利用し、冒頭いきなり客席からラップを始めたり。”このグルーヴを捕まえて それがすべてさ”という七尾旅人、やけのはらによる「Rollin’ Rollin’」を引用したり。バブルソやThe Clap Brothersとしてのリリースはチェックしていたが、それらがライブで表現されるときのフィジカル性が異様に高くて魅了された。ヒット曲がなくても客をロックできるラッパーの底力をみた。むかし、NOONでMPC1000とアコギでライブしていた頃から見ているので隔世の感があった。
前置きが長くなったが、この日の目当ては韓国サイドのラッパーである。出演者はSkinny Brown, Changmo, The Quiett。Qが運営するAmbition musik, Daytona Entertainmentから、それぞれメインどころを持ってきており、日本市場を真面目に狙っていることが伺える。
Skinny Brownはまさに今どきのラッパーという感じ。正直そこまで熱心には聞いていなかったものの、素晴らしいメロディメーカーなので、曲を聞いて「おーこれもか!」と思うことが多かった。Changmoはアルバムタイトルにもあるとおり、完全にロックスターモード。前回出演していたGo Aheadzの方がパフォーマンスは安定していたように感じたが、今回は会場がコンパクトなこともあり、とにかくバイブス、熱量の高さが印象的だった。そして、この日一番楽しみにしていたThe Quiett は安定感抜群のこれぞベテラン…!というライブで一番ブチ上がった。Illionare Records時代の曲から最新アルバムの曲までバラエティに富んだ選曲でさすがとしかいいようがない仕上がり。音源通りの声がラップとして生で聞ける喜びを久しぶりに味わった。こんだけ現役感たっぷりでライブもやりつつレーベル運営、ライブ企画までやって、後進の育成に励んでいる姿を見ると、ヒップホップアクティビストという言葉は彼のような存在を言うのだろう。
今回はがっつり身内編成でのライブだったが、次回開催されるメンツのようなローカル度の高いメンバーで来日してほしい。すでにSkinny Brown、Rude-αで曲を作っていたが、RAPHOUSE起点で日韓のラッパー同士のコミュニケーションが進んでいったりすれば、アジアのヒップホップの新たな震源地になるかもしれない。
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