2024年5月22日水曜日

BLASÉ JAPAN LIVE SHOWCASE

 昨年のat area のレーベルライブ以来、二度目の来日公演があるということでBLASÉを見てきた。前回のライブでも本当にタイトなラップを披露していたが今回もバチバチにかましていた。前回と大きく異なるのは日本勢とのコラボレーションだ。オープニングアクトにTade Dustが抜擢されておりライブ尺を考えると実質ツーマンのような形となっていた。

 Tade Dust の1曲目はもちろん ”Chapter 1” この曲の冒頭「I fuck with UK accent」はBLASÉ と彼を繋ぐキーワードである。もともと彼が”We higher”で使った「I got UK accent」への意趣返しだろう。現行のUKのヒップホップをリファレンスにしている2人の相性が最高であることの証左とも言える。ドリル中心のセットリストで新曲が3曲披露された。なかでもD3adStockがproduceかつフックも歌っているガラージスタイルの曲がめちゃくちゃかっこよかった。

 そして肝心のBLASÉは“Peace out”のアカペラから登場。ラップうま!と何回も言いたくなるほどタイトに決めていくのがかっこいい。前回のat areaのライブ時に日本語でMCがなかったことを反省(?)して日本語でMCを繰り広げていて驚いた。「カンペをみてる」と本人は謙遜していたけれどサービス精神たっぷりな様子はタイトなライブとのギャップがあってオモシロい。”Pop it”ではステージから客席に降りてパフォーマンスし会場は一気に爆発。韓国のラッパーたちがこぞってライブが上手いのは踏んでいる場数の多さなのだろうなと改めて感じた。個人的に今回のライブで一番アガったのは新しいEPからの四つ打ちチューンの”Mean”。フックであんまり歌わない引き算のスタイルがめちゃくちゃカッコいいしグルーブがダンスミュージックのそれで最もフロア映えしていた。この曲はouidaehanによるプロダクションとのことで、ここでPop Yoursの件について点が線となった。(JJJのアルバム収録曲”July”はouidaehanのビート)

 またTade Dustを途中で呼び込み、新しいEPに収録されている”Track Suit”に加えて他に2曲も2人で作っているらしく合計3曲一緒にライブで披露していた。 盟友CODECの世界最先端のビートを乗りこなす”Track Suit”はもちろん超絶かっこいいのだけども、他2曲もドラムンベース(D3adStock×CODEC!)、王道ドリルといった感じでかっこよかったので早くリリースされて欲しい。またPop yoursが突如韓国とのコラボレーションを企画、そこに韓国サイドでBLASÉが参加した”YW”も披露されTade Dustと同じ夜猫族に所属するBonberoも登場して盛り上がっていた。ここから粋だったのは彼が「2人のかっこいい曲聞かせてよ」と言って2人の代表曲である“Life goes on”を呼び込んだところ。トップダウンのコラボではなくボトムアップだからこその信頼感がライブから伝わってきた。終盤はSMTM11メドレーで大団円。お約束が過ぎるとは思いつつもSMTMの曲は聴くだけで当時の番組に対する思いが走馬灯のように頭の中を駆け巡るので普通の曲の倍は盛り上がる。特にSMTM苦労人なので、そのこと含めて色々と思い出してしまうのであった。リアリティショーとヒップホップの相性の良さを改めて感じた。

 韓国のヒップホップと日本のヒップホップの近接は今年に入って急激に加速している中で、この2人が見せた相性の良さは本当に素晴らしかった。2人のライブを通しで見ると互いに高めあうようなシナジーが炸裂していた。誰かが用意した枠の中でコラボレーションするのも悪くないがアーティスト同士が互いにリスペクトしあってこそ表現できる景色があることを気づかせてくれるライブだった。Tade DustはInstagramのストーリーを見ている限り他の韓国のラッパーとも友好関係を築いていそうなので今後のリリースが楽しみである。そしてBLASÉのNew EPは死ぬほどかっこいいので繰り返し聞いていきたい。


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