2023年8月6日日曜日

せいいっぱいの悪口

せいいっぱいの悪口/堀静香

 友人からもらって読んだ。最近気になる本が立て続けにリリースされている百万年書房の一作目。同年代の方の子育て事情について知る機会も少ないので日記を読んで自分の子育てを相対化できて良かった。

 エッセイと日記が交互に登場する構成になっている。著者は歌人でもあり、エッセイの中でそのときの感情にあわせた短歌が紹介されているのがユニークでオモシロかった。エッセイは主に生活を巡る話なんだけども、その中での厭世観や死恐怖症的な話、自他のどうしても埋まらない溝などについてポエジー成分多めで書かれている。このバランス感覚の文章はあまり読んだことがなく個人的には若干ウェットに感じた。ただこう感じたのはタイミングの問題なのかなと思うし、本著に書かれている感情の機微について思い当たる節は多々あった。個人的にはエッセイよりも圧倒的に日記が好きだった。コロナ禍の日本のカントリーサイドでの市井の暮らしを知る機会はなかなかないし文章がとても読みやすい。著者の視点や感情の表現がこれまたユニークで著者が短歌やエッセイを書く前のネタ帳を見ている感覚でオモシロかった。

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