ピッツァ職人/井川直子 |
本屋で表紙の配色とタイトルに惹かれて買った。ピッツァ職人に関するノンフィクションという珍しい内容だけども、めちゃくちゃオモシロかった。仕事論でもあるし人生論でもあるし、ピザ職人という切り口でこんなに見える世界があるだなんて。。。
中村さんというピザ職人の人生を中心に日本におけるナポリのピザの歴史を紐解いていくのだけども、この本の面白さの半分以上は中村さんのキャリアにあると言っても過言ではない。高校中退して何も夢中になるものがない中でピッツァに出会い、わずか17歳で単身ナポリへ渡って修行を重ねていく。まだまだ修行ルートが確立されておらず治安も悪いナポリで青年がピッツァへの情熱だけで懸命に生きていく、その話だけでも胸が熱くなった。ほぼ同年代だしサラリーマンとして日々を生きている中だと、若い頃に真剣に夢中になれるものに出会い、それを仕事にできることの尊さが骨身に染みるほど分かる。本著からは夢中になることの尊さがビシバシ伝わってくるのがよい。打算的なものが感じないピュアなピッツァへの愛。だからこそイタリアの職人に受け入れられたのもよく分かった。
また「ピッツァ」に対する解像度が一気に上がるのも本著の素晴らしい点だと思う。日本ではアメリカ由来の「ピザ」とイタリア由来の「ピッツァ」が混ざっている現状があると思う。ナポリ由来の「ピッツァ」がどういったもので日本にどのように輸入されてきたのか経緯を丁寧に解説しくれていて勉強になった。特にナポリのピザの特徴について、ナポリ各地の魅力的なピッツァマスターを紹介してくれたり生地のテクスチャーを細かく文章で表現してたり。著者の表現がうま過ぎて読んでいるだけでヨダレが出るくらいに楽しんだ。今すぐナポリのピッツァが食べたい!
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