インベンション・オブ・サウンド/チャック・パラニューク |
最近友人と『ファイト・クラブ』の話をしていたタイミングで、本屋で新刊見つけてブチ上がって即買った。個人的にこういったストレートなサスペンスを読むのが久しぶりでそれだけでも楽しい上に、チャック・パラニューク節が炸裂しているので最高だった。
映画向けの効果音としての悲鳴をクリエイトする女性と、娘が行方不明の父親の2人の物語が並行して描かれていき、徐々に交差していく。いずれも退廃的かつ孤独なムードで、それぞれが拗らせていることを丁寧に描いている。前者の女性の方は効果音の悲鳴が実は凄惨な現場から生まれているという設定で、そしてその悲鳴が世界を壊していく。中二病的と言ってしまえばそれまでなんだけども、チャック・パラニュークの場合はその嫌な部分というのをとことん突き詰めてくるので、そこが並の作家とは違うところ。ビューが鮮明に浮かぶというか極めて映画的に思えた。父親の話はヴィジランテ物語となっており、こちらは SNSやYoutubeといった現代要素が取り込まれつつ、そういった大衆監視の合間をすり抜けていく当事者の怒りが生々しかった。終盤、物語がクロスしていくのに加えて、悲鳴がもたらすさらなる中二病的展開(陰謀論等)でドライブしまくるのがオモシロかった。そしてエンディングは極めて奇妙なホームドラマのような終わり方で腰を抜かした。次は短編集のリリースがあるらしいので、それも楽しみにしたい。
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