2023年1月23日月曜日

2023年1月 第3週

ALLDAY by 舐達麻

 昨年の”Blue In Beats”に続く新曲。変わらないことをプラスにしていくヒップホップのアティチュードを端的に示していてシンプルに「かっこいい…」という言葉しか出ない。GQのインタビューを読む限り、BADSAIのクオリティーコントロールに対する姿勢が相当厳しそうだし、実際出てくるものが全部かっこいいのだからたまらない。3人ともかっこいいが今回はBADSAIの最初のバースが優勝。日本のヒップホップここにあり。アルバム期待大!

Energy by HAAN X SHIRT

 最近Korean HIPHOP, R&Bを紹介するナイスなサイトを見つけてRSSで購読している。そこでGemsとして紹介されていたのはSHIRTというシンガー。完全にUnderratedだと思う。HAANというビートメイカーとのEPはかなりポップな仕上がりなものの好みだった。聞き始めたタイミングでシングルがリリースされて、そちらの方が断然好みなサウンド。歌めちゃくちゃ上手くてビートがかっこよくても、そこまで有名になりきれない韓国の層の厚さを感じた。
 あと数珠繋ぎでHAANのインストのEPも聞いたけど、めちゃくちゃウェルメイド。4曲入りでどれもゆったりしていて心地よいし1曲が長いのに全然飽きない。BGMにおすすめ。

SLAY HOUSE REMIX by Jay Park & Slom

 SMTM11はまだ終わらせへんで〜的なTeamslayによるEP。毎年イケてるビートがあれば大人数でマイクリレーするカルチャーがあるけど、今年はそれをEPとしてまとめてきた。誰のアイデアかわからないけど本当に最高だった…特に落選したメンバーのロストバースをきっちり作品で残す漢気よ。。。今回のSMTMで嫌だったのはマイクセレクションを筆頭に努力を踏みにじる系の演出の復活で、そういたネガティブさをEPで帳消しにしたJay Park とSlomにビガッ!
 人選も興味深くて”WE REMIX”は広い世代とジャンルのラッパーで彩り、”Blue Check REMIX”では若手中心に攻め攻め。今回は他チームの参加も目立ち、Team QiolinのQM、NSW YOONが締めのバースを派手に決めてたり、Team Grillzのメンバーは”Blue Check”でカマしまくりだしでSMTM11を締めるにふさわしい仕上がりだった。そして、やっぱりここにDON MALIKがいないことが全てを物語っている気がするのです…原曲の”Blue Check”のラストバースでも分かるようにJay Parkは誰よりもヒップホップに対してアツい思いを持っているゆえに今回の一連の空気を払拭したい気持ちを勝手に感じた。Youtubeだと雑だけど日本語訳も見れた。
 そしてDingoで”Blue Check REMIX”のビデオもきたー!!全員バイブス高くて見てるだけでニヤニヤしてしまうし、ラストとどめを指すJay Parkのラストバース。インスタで「Fck the charts!! You hear us in the streets!」 とポストしている。

 冷静に考えるとJYPをやめて韓国のヒップホップカルチャーを「リアル」なものであるとして、ここまで引っ張ってきたのに、そこへYGのプロデューサーが来て時代を逆戻りさせるかのようにSMTMをポップスで埋め尽くされたら怒るのも当たり前かと思った。とにかく今回の一連の流れは、エンターテイナー、策略家、ヒップホップアクティビストとしてのJay Parkにあらためて敬意を抱いた次第です。。。

WHITE GROOVE by KOREANGROOVE

 これから人気が出ると思っている、いや出てほしいラッパーKOREANGROOVEの新作EP。ロートーンで淡々とラップするスタイルだけど今回はいろんなタイプのビートでラップしているので聞きやすい。オーセンティックなスタイルとポップさのバランスがちょうどいいと思う。好きな曲は決意を語るエレピ、バイオリンが美しいラストトラック”Hold Me Tight”

Ground Zero Feat. punchnello by DJ Wegun

 来週AOMGツアーの東京場所に行くのだけども、ツアーDJを務めるDJ Wegunとツアーにエントリーしていないpunchnelloによるシングル。こんだけ大レーベルなのにローカルのクラブでのパフォーマンスをMVにしているのがかっこいいし、punchnelloの最近のハードモードとビートの相性は最高!日本近いねんからCoogieも含めて来てくれや。

Underground Film by MO¥P

 プレイリストで見つけたけど詳細一切不明のビートメイカーのEP。(名前に¥が入っている上にキーワードがすべて平凡なので何も引っ掛からなかった)内容はめっちゃ好きだった。マイルスを思わせる泣きのトランペットのループが印象的な”Chill”はOwenのしっとりしたラップがかっこいいし、アップカミングなGongGongGoo009がスピットしまくり他のトラックもクオリティが高い。好きな曲は”Wrath” It ain’t for the money still.

 セールしていたので3枚ともレコードでゲトった。Kehlaniは作品を経るごとにどんどん洗練されて行っている印象で最新作『blue water road』とかはSADEっぽいバイブスさえ感じた。今作はその過程にありながらR&B道にある好きな作品。Tom Mischは内容はもちろんだけどジャケ的にレコードで持っておきたく買った。一番ヤバかったのはChildren of Zeus『Balance』。UKはドリルを中心にハードコアなシーンが注目されているけど、2MCの彼らはメロウな歌とラップで名を馳せている。ネオソウルの系譜にありながら2020年代にアップデートされたサウンドとラップ、歌が素敵にマリアージュ。他は1LPだったこともあり、これだけ2LPだったこともあり出音がめちゃくちゃ良くてテンション上がった。

 これらは信頼のAlffo recordsにてレコードゲット。Steve Lacyの2ndは言わずもがなで2020年代を振り返る際に必ず名前は出るだろうマスターピース。レコードで所持しておきたかった。あとはDijonのデビューアルバム。以前に出ていたEPを聞いて好きになって満を持してのアルバムはしっとり感満載で最高。声質含めてFrank Oceanっぽさがあって、もう少しロッキッシュ。人の声やルームノイズなどが各曲に含まれているのでRawな雰囲気がふんだんにありレコードで聞くのが楽しい。

Haven by Big Animal Theory

ralph, C.O.S.Aを招いて曲をリリースしている謎のビートメイカーのアルバムが出た。ジャケがまず最高だし、2010年代を思わせるサンプリングベースのエレクトロニカな音楽が懐かしく感じた。(ドラムが比較的抑えめ?フィルターがかかっているから?)C.O.S.Aとの曲はASAP Rocky、Skeptaの”Praise The Lord”サンプリングで四つ打ちなところが好きだった。有名なトラックメイカーの変名な気がするねんけどな〜KMとか。勘ぐりすぎ?

On & On: Jose James Sings Badu by Jose James

1月に最も期待していたアルバム。Jose JamesのBaduカバーアルバムとか最高に決まっているし、実際聞いてみたらやっぱり最&高。こういうカバーってバンドのライブを見に行ったに聞けるご褒美曲的な要素が強いと思っていて、それがまとまって聞けてしかもBaduなのでめっちゃ良かった。
 『On&On』丸ごとカバーかと思いきや、他のアルバム含めて彼がセレクトしてカバーしている。ジャズバンドでのカバーしやすさかと思いきやMadlibがプロデュースした”The Healer”のような攻めた選曲もあって興味深い。アルバムの構成を見ると『Mama's gun』3曲が最多。元の”Bag lady”には"Xxplosive"と同ネタの泣きのギターリフが入っているんだけど、今回のカバーにはなし。クリアランスの問題なのか少し残念だった。
 どのアルバムもそれぞれ思い入れあるけど、リアルタイムで聞いていたNew Amerykah Part1&Part2は特に好きでアートワーク、サウンド含め、自分の好きなものを規定しているような気がしている。なので好きな曲は”Gone baby, Don’t be long”
 インタビューが Rolling Stoneから出てた。
Jose JamesによるBadu批評という感じでめちゃくちゃオモシロかった。https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38992

Anything In Return(Instrumental) by Toro Y Moi

 リリースから10年(!)を記念してインストがリリースされたので聞いてみたら、これはマジでぶっとんだ…!!ボーカル入りと全く違う聞こえ方していてこのアルバムの楽曲の強度というかインストアルバムだったのでは?と思うくらいに複雑なサウンドテクスチャーがそこにある。
 ボーカル入りだと全然気付けていなかった良さが信じられないくらいに入っていて感動した。Toro y Moiのインスタのポストによると、初めてスタジオで作ったアルバムであり、西海岸でのクラブシーンでの体験をもとにデカい音で鳴らすことを意識していたそう。また単なるジャムセッションにならないように配慮していたとも言っている。実際、バンドサウンドとダンスミュージックのいいとこ取りの素晴らしいバランスで仕上がっていると思う。

Like…? by Ice Spice

 Youtubeでレコメンドされて、一度見たら忘れられない見た目とその曲のキャッチーさにやられた。ドリルメインでジャージーもありつつ。やっぱこのインスタント性がヒップホップの醍醐味だと思う。ウェルメイドなものを蹴散らしてしまう中毒性がある。”Munch”がバズったみたいだけど好きだったのは”Bikini Bottom” スポンジボブが住む街の名前らしい。リリックと1mmも関係ない…

Top Spitta by KAMBO

 SMTM11でTeamSlayに入り楽曲入り直前で落ちたKAMBOのニューアルバム。露出が上がるタイミングできっちりアルバムを用意しているのは素晴らしいことですね。2010年代っぽい勢いのあるビートが多くて懐かしさを感じる。もう10年前なのか…(遠い目)アルバム名のとおり、ひたすらスピットしている。Lean$mokeがプロデュースした”Go Hard”とかめっちゃMeek Millぽくて滾る。ただ一番好きだったのはHIPHOPへの愛をネームドロップしながらラップする”50 BARS FOR 50 CENT”

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