2022年1月16日日曜日

そんなふう

そんなふう/川内倫子

 写真家の著者が子ども誕生に伴って綴ったエッセイ。友人にレコメンドしてもらったので読んだ。最近子どもが生まれた新米の親の立場で読むと1つの予習であり、そういう気持ちになるのか、という気づきが多い読書体験だった。当たり前だけど親になって読むのと親になる前では感じ方が色々変わってくるなと気付かされる。

 基本的には日記形式で子どもがグイグイ成長していく中で感じたことが書かれている。子どもの成長と著者の老いや家族の死が並行で書かれていて生のバトンリレー感が印象的だった。命の受け渡しの尊さと残酷さ。過ぎていく時間に対して敏感で同意する点も多かった。これまでなんとなく過ごしてきた数年とは違い、子どもとの生活は時間の経過が明確に可視化される話が特に納得した。写真家という観点で言えば切り取る瞬間のオモシロさが間違いなくあり、子どものエッセイだとどうしてもウェットになりがちだと思うのだけど文章が乾いてて好きだった。

 当然本業である写真はどれもめちゃくちゃかっこいい。日常を撮影したという意味ではスナップなんだけど、写真ド素人からみてもバキバキに決まった構図でエッセイを何倍も楽しませてくれる重要なファクターになっている。

 写真は両親や祖母に送るために撮っているけど、なんらか文字で記録に残しておかないと日々はただ過ぎていくだけだなと強く思ったので少しでも育児日記は手元に残しておくようにしたい。

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