2013年12月9日月曜日

コラテラル



ザ・クラッカーの話を誰かとしたときに
「コラテラル、オモシロいよー」と聞きつけて見ました。
これまでヒート、ザ・クラッカーを見たのですが、
間違いなく、その系譜にある作品でオモシロかったです。
一般人であるタクシードライバーの
ジェイミー・フォックスが
殺し屋のトム・クルーズを乗せたことで
その日の殺人稼業に巻き込まれる話。
Collateralは「巻き込まれる」という意味です。
はじめはなんとなーく始まるんですが、
回り始めた歯車に巻きこまれたら最後、
その殺し屋稼業の片腕を担ってしまう。
こないだ見た悪の教典に感覚的に近いなと思いました。
ジェイミー・フォックスは
最初情けなく巻き込まれていくんですが、
なんとか彼女を救おうとする。
ビルでのシーンは超ハラハラしたし、
96時間はこれをベースにしていたんかなーと思いました。
トム・クルーズの殺し屋も良いですよね。
アウトローのときの暴力性に
ボケ要素を完全に排除したような感じ。
あと僕がマイケル・マンの映画を見たくなる
最大の要素が夜の美しさ。
本作は一晩の物語なので、ずーっと夜。
だから余す事無く、艶やかで美しい夜を堪能できます。
彼の作品見たあと、街中に出ると
普段見ている風景でもどこか違って見える。
プロット追っかけて、
おもしろい、おもしろくないを語ることが多いですが、
こういう楽しみ方できる映画ともっと出会いたいなーと思います。

先生を流産させる会




タイトルを言うのも少し戸惑う本作。
怖いものみたさで見てみました。
思ったよりもひどい話ではなかったというか…
当然タイトルどおりのことは起こるんですけど、
それ以上でも以下でもない感じ。

妊娠した中学校の担任の先生を
女生徒4人組が流産させようとする話。
この流産させようとする方法が
地味でリアルなのが、イヤーな感じなんですよね(褒め言葉
extremeな暴力にしてくれれば、
フィクションとして受け止めやすいんだけど…
1人の子が先導してて、あとは右に倣えな奴ら。
この先導してる子が何とも言えない顔というか、
ハーフなんだと思うけど、感情が見えない。
人の痛みとか全く理解していないように見える。
そんな彼女が気持ち悪いという理由で流産させようとする。
で、先生はなるべく理性で押さえこもうとするんだけど、
どこか金八要素が…一方的に命は大事!
みたいな主張されても、それはそれで当然なんだけど、
理論的な部分が見たかったなー
僕の中では鈴木先生以降、以前ではっきりと
先生が主人公の学園ものの線引きをしてしまっていまして。。
ただの説教臭い正論なんて聞きたかねーよと。
だから、そこまで乗れなかったです。
でも、最後のシーンは命の重みドスンと感じました。
時間も短いので、興味あればどうぞ。

2013年12月8日日曜日

ウォールフラワー



甘酸成分を求めていたのと、タダ券があったので、
しっかりと見てきました。
その期待を裏切らない見事な甘酸映画でした!
原作が有名な小説らしいんですが、未読。
その小説をなぞるような構成の映画となっています。
主人公(チャーリー)は高校1年生の男子。中学校ではパッとしなかったけど、
高校では意気込んでいるけど、なかなかうまくいかない。
そこに現れた高3のあるグループと仲良くなり、
彼らとの友情、恋愛について、主人公が「トモダチ」という
架空の存在に手紙をあてる形でお話が語られます。
この映画の特筆すべき点は音楽ですね。
最近、ロックも聞くようになったのはこういった映画があるから。
アメリカ青春ムービー×ロックの組み合わせは大好物!
物語のキーとなる曲はこんな感じ。
The Smith "Asleep"


David Bowie "Heroes"


The Beatles "Something"(厳密には流れません)


そして、アメリカ青春ものの定番、
好きな子にミックステープを送るやーつ。
そしてヒロインがエマ・ワトソン。
これらの要素を伴い、この時点でいわゆる5億点!
前半で描かれるのは他愛のない高校生活。
チャーリーに友人ができて、エマ・ワトソンに恋するところがメイン。
友人がいることの素晴らしさが
この映画からはめちゃくちゃ伝わってくる。
最初は閉じていた主人公が、友人ができて、
彼らと共に時間を過ごすことで、
明らかに変化、成長する姿は見てて愛おしい。
象徴的なのはパーティー中に隅で立っていた彼が
高3のグループにジョインするのとか、
ロッキーホラーショー の舞台に立つ姿とか。
友人の存在が彼の学生生活を充実させていく。
後半は前半でも少しでていた彼のトラウマの部分が
何であるかという話にフォーカスしていく。
この辺がただの青春恋愛ものとは異なるし、
思っていた以上に事実が重かった…
そして、前半はうまくいっていた人間関係もドンドン破綻していく。
アメフト部とゲイの関係や、
チャーリーが好きでもない子と付き合ってしまい、別れちゃうとか。
それに伴いトラウマに基づく幻覚は加速していく。
高3の友人たちは大学生活へと旅立っていく。
その前夜にエマワトソンとイイ感じにあるんだけど、
それが引き金となり、彼の抱えていたトラウマの正体に
自分で気付いてしまうという残酷さ。
そっから無事に立ち直り、迎えるラスト。
これがねーもうねーマジで最高なんですよねー
是非見て確かめてください!

キャプテン・フィリップス



何回予告編見たか分からないくらい見て、
全然期待してなかったけど、周りの評価が良かったので見ました。
予告編のなにが嫌だったかといえば、
「唯一の救いは家族への手紙だったぁ〜」のくだりが
とてもイライラしたからです。
でも実際見てみると、家族云々よりも
相当solidなハイジャックもので、かなり好きでした。
監督はポール・グリーングラスという人。
ユナイテッド93は見ましたが、それ以来。
あれも実話ベースですが、今回も実話ベース。
トム・ハンクス演じる船長の搭乗する貨物船がソマリア沖で
海賊に襲撃を受けて、ハイジャックされる話。
それだけと言ってしまえば、それだけなんですが、
もう超ハラハラするんですねーこれが!
トムが自宅から出発するシーンから始まるんですが、
そこで彼は奥さんと激化する競争社会で、
息子が生きていけるかどうか心配する。
そのあと海賊たちのメンバー選抜がされるシーンが描かれて、
本質的な部分ではどこの世界も変わらないことが分かる。
つまり、弱い者は淘汰されてしまう世界。
これは物語全体のテーマでもあります。

1回目の海賊からの襲撃はなんとか乗り切ったものの、
2回目で船に乗り込まれちゃう。ここが最初の見せ場。
アホみたいにデカい貨物船 vs ボロボロのモータボート
「まさか負ける訳ないよ」という油断に対する、
海賊たちの異常なまでのガッツ。
なにも恐れない気持ちのパワーが伝わってきます。
舵の切り替え、速度アップ vs ハシゴかかる/かからない…
かかったー!的な盛り上げ方はホントにオモシロい。
船を乗っ取られたあとも、船のギミックを生かした
一進一退の攻防、駆け引き。全く飽きない。
結局、貨物船は乗っ取れず、トム・ハンクスが人質にとられて、
救命ボートでソマリアを目指すことになる。
ここからは密室サスペンス要素もありーの、
ネゴシエートサスペンスとして、オモシロくなってくる。
特にここから海賊たちの背景や内面が見えてきます。
当然、海賊という行為自体は許されないことだけど、
彼らが生きていくためには必要で…という
こちらの一方的な論理で片付かないように思えてくる。
完全に「悪」として描ききることもできたと思いますが、
このバランスは素晴らしいなーと思いました。
そして、トム・ハンクスを救出するため、アメリカ海軍も登場。
ここは漢なら、アガらざるを得ないシーンの連続。
海賊とのネゴは勿論のこと、救出作戦のひとつひとつが超オモシロい。
アメリカ海軍があまりに圧倒的であることを
頭では分かっているけど、引き返せない海賊たちの意地。
このぶつかり合いがひたすらスクリーンで繰り返されます。
圧巻なのはラスト。トム・ハンクスの慟哭シーンは凄まじい!
直接語る訳ではなく、助かった安堵の気持ちに加えて、
まだ若い子達が無惨にも殺された虚しさ。
様々な感情が入り乱れたこの叫びはホントに圧巻でした。
あんだけ家族って宣伝で言ってたから、
紋切り型で終わるのかと思いきや…
安易な正義主義ではない終わり方でした。
とてもおもしろかったので、ソマリアのこと勉強しようと思います。

2013年12月4日水曜日

四十九日のレシピ



公開当初から気になるなーとは思いつつも、後回しにしていました。
監督が「ふがいない〜」のタナダユキと知り、これは!
と思い、急いで見たという感じです。
その結果、特大ホームラン!少し乗れない部分もあったけど、
物語のテーマ性にヤラレてしまった。。。
そのテーマはずばり「母」です。「母性」といってもいいかもしれない。
さらに言えば、子どもを産まなかった女性の人生、生き方の話。
この年齢になると、必然的に結婚の話になるし、
僕の周りですでに結婚している人も多く居ます。
昔よりも身近な問題として迫ってきている訳ですが、
女性は子どもを産むということを念頭に置くと、
身体的な限界を考慮しなければならない現実がありますよね。
あと大っぴらには言われてないけれど、
子どもを産まない(産めない)とか結婚していない人を
変だと思う風潮さえも存在する。
この辺りについて考えさせられる映画でした。

永作博美が主人公で、彼女は結婚してるんだけど、
子どもができなくて、懸命に努力をしているのに。
夫の原田泰造が不倫相手を妊娠させてしまう。
それをきっかけに実家に戻ることにした訳ですが、
すでに彼女の母親は亡くなってしまっている。
この母親は継母で、永作博美と同様子どものいない人生を生きた女性。
彼女は半分遺書のような形で、
暮らしの知恵手帖みたいなのを残していて、
そこには「四十九日は大宴会」と書いていた訳です。
この彼女のメモに従って、父の石橋蓮司、永作博美、
母が働いていた更生施設で更正した二階堂ふみ、
母の働いていた工場の元同僚で日系ブラジル人の岡田将生と
四十九日に向けた準備をしていく。
その四十九日に至るまでに、父と母の出会いや、
博美と泰造と不倫相手の吐きそうな修羅場ありーの。
この辺の内容、そのトーンは全く予告で見れなかった部分ですが、
最高に好きでしたね〜
「ふがいない〜」にも通じる世界に存在する現実を突きつける。
前半の博美は明らかに子どもができなかったこと、
それがきっかけで半ば離婚してしまったことを辛く思っている。
でも、これまで向き合ってこなかった継母の人生や人柄を
後追いながらも知ることで、
自分の人生を今後どういう風に生きていくのかを
見つめ直していくのはとても良かったです。
劇中でセリフでも言われていますが、
子どものいない母親のメモリーというのは希薄なものになりがち。
それを分かりやすくする演出として、
四十九日の出し物で、母の年表が出てくる。
最初はなかなか埋まらない。
子どもではなかったけど、母が携わってきた人達で
その年表が埋められる瞬間に…号泣メーン!
当然、血のつながった子どもとの思い出というのは
かけがいのない思い出であることは間違いない。
でも、その子どもがいないからって人生がダメ!
って言われる筋合いはねぇよ!という強烈なメッセージは
とても共感しました。
淡路恵子がその子ども絶対主義のイヤ〜なババアを演じていて
素晴らしかったなぁ。(褒め言葉)
乗れ無かった部分というのが岡田将生演じる日系ブラジル人ねー
原作に出てきたキャラなのかもしれないけど、浮いてしまってる。
(似たポジションの二階堂ふみは明るさと同時に、
そこに影が見えるから、気にならなかった。)
思い切って省いてもよかったかなと思います。
最後の終わり方も超好きで、永作博美の顔だけの演技で
完全にkillされてしまいました、、、
自分主体で生きるのも楽しいですが、誰かと関わりながら、
ときに自分が他人のロイター板となり、
その人のために生きる人生は尊いし、愛しい。

2013年12月3日火曜日

サプライズ



予告編見て、ワクワクしたので見に行きました。

映画の日ということもあり満席。
そして、新しいタイプのシチュエーションサスペンスとして楽しめました。
暴力描写もばっちりだし、テンポよく話は進むし、
展開も素晴らしくて、見てるあいだ興奮しっぱなしでした。
ある夫婦の結婚35周年を記念したパーティーが開催されることになり、
郊外の別荘に息子・娘が集合。
そのパーティーが謎の覆面集団に襲撃されて…というお話。
冒頭からアクセル全開で隣人ぶっ殺すシーンから始まるんですが、ここで、この映画のテーマソングがガンガン鳴り響く。



この曲が鳴り響く中でぶっ殺して、タイトルどーん!アガル〜みたいな。
今回の映画で大きな肝となるのはアニマルマスクですよねー
ポスターにも使われていますが、この何とも言えない不気味さは
動機の見えない殺人を怖いものに仕立て上げる一方で、
ときおり超マヌケに見えるというオモシロさもある。
パーティー前夜から家族は集まってくる訳ですが、
ここで色々と伏線もありーの、家族の人間関係のイビツさも分かる。
そして、いざパーティーが始まり、窓の外を注目すると…
ドーン!で殺戮ショーのスタート。
阿鼻叫喚の地獄絵図の中、1人だけやけに事態に適応しているやつがいる。
それが1人の息子の彼女。
この事件が起こるまではかわいらしい感じやったのに、
やたらと手際が良すぎる!(この理由は後に明らかになるのですが…)
物語は基本的に彼女目線で進行し、
覆面集団と彼女のバトルロワイアルが超オモシロい!
ハラハラもするし、ときには暴力があまりにExtreme過ぎて
もはやギャグになって、笑えちゃう。
細かい前フリもベタなんだけど、「しむら、うしろー!」と
思わず言いたくなる作りでオモシロかったですw
最後ももしかして…っていう展開でしたが、最高やったな〜
これ以上語るとオモシロさが半減するので、
あとは自分で見て、このジェットコースターを体験してください!

2013年12月2日月曜日

悪の法則



ハビエル・バルデム、ブラピ、キャメロン・ディアス、
ペネロペ・クルス、マイケル・ファスベンダーに
巨匠リドリー・スコットをかけ合わせるという、
エゲつないキャスティングによるクライムドラマ。
(脚本はノーカントリーの原作者)
正直このキャストなら、もっと見せ場作れたろうに。
とは思いますが、好きなトーンではありました!
原題はThe Counselorで、弁護士の意味。
ファスベンダーが弁護士を演じています。
んで、バルデムがヤクで儲けてる成金野郎、
ブローカーのブラピを通じて、
ヤクの商売に手を染めてしまって…という話。

ペネロペはファスベンダーの奥さんなんですが、
冒頭から濃厚な2人の絡みから始まった段階で、
これはヤンゴトなき映画やなーと思いましたw
そして、一番ヤンゴトないのがキャメロン・ディアス。
彼女はバルデムの彼女を演じていますが、一筋縄ではいかない女。
寓話的な瞬間もあるし、むちゃくちゃ肉感的なときもあるし。
この肉感的というのが最も端的なのが、車とのSEXですよね。
これは映画館で見るべき、新しい概念。
キャメロン・ディアスも狂ってるけど、
この話をバルデムから聞いたファスベンダーが
「彼女はそれでイッたのか?」と聞くところも狂気。
前半は物語の背景説明で、後半になって物語が一気に加速する。
そのきっかけとなるのが運び屋が殺されるシーンなんですが、
脚本がノーカントリーの原作者ということもあり、
殺すための武器がオモシロい。今回は首チョンパの方法ね。
ピアノ線張るシーンは、あの粛々と準備するのにシビレタな〜
もう1個の武器は最後にでてきますが、
これも全く現実味ない案配なのが良かった。
あと運び屋がやり取りする「モノ」も
これまでのギャング映画で見たことなくて、
実際に行われているかどうかはさておき、
リアリティを助長させる演出だなぁと感心しました。
後半は救いの無い一方的な追い込みが始まる訳ですが、
ファスベンダーが胴元と話すシーンが良かった。
ワンワン泣いてるけど、お前の悲しみでは何も買えないし、変わらない。
お前が選択した未来が今ここの現実なんだから受け入れろや。
っていうね〜人生なんてコレの連続だから、
楽しかったり、辛かったりする訳ですが。
少しの欲でさえ、リスクを伴っていることがよく分かる。
その欲とリスクの関係性を一番理解しているのが、
この映画ではキャメロン・ディアスだと思います。
故にこの世は弱肉強食と割り切っているし、
それがところせましと暗喩されていますよねー
チーター好きとかラストのセリフとか。
このメンツで、この感じが良かったのかどうかはさておき、
見て損することはない作品でした。

追伸:
宇多丸師匠の本作の批評はめちゃくちゃオモシロかったし、
この映画の理解に非常に有用ですので、
見た方は是非聞いてみてください ⇒リンク