一私小説書きの日乗 憤怒の章/西村賢太 |
一作目でハマったので二作目もサクッと読了。人の日記が好きで結構読んでいる方だけど、淡々と同じフォーマットで綴られる日常はまるでダンスミュージックのようなグルーヴがあり完全に虜になった。あと三作も楽しんで読みたい。
タイトルに”憤怒”と記載されているとおり確かに怒っている場面が多かったといえばそうかもしれないが、著者にとっては通常運転なのかなと思う。自分の道理に合わない行為について厳しい姿勢を示し、ときに激怒する、そのことを虚心坦懐に書いている点がかっこいい。自分がどう見えるか、他者の評価を気にせず自分がどう思っているかを主張し続けているから。セルフィッシュに映ることも多いが、尊敬する人物に対する敬意の払い方は徹底している。当時はメディアにたくさん出る機会も多い中で彼とビートたけしとの邂逅が描かれていた。その場面がハイライトだと思う。丁寧な場面描写と共に著者がいかに感動したか伝わってきた。亡くなった後に文庫されており、玉袋筋太郎氏の解説もありその内容もまたグッときた。
一巻から引き続き食事、飲酒の記録が生々しい。たくさん食べて飲んでいる。淡々とした生活の中で著者がいかに食事、飲酒を大切にしているか伝わってきた。それに影響されて自分の暴飲暴食っぷりも加速されるのでハマりすぎには要注意(西村賢太が朝方にこんくらい食べて飲んでるんだから大丈夫っしょ、という具合)個人的に面白かったのは痛風の影響で一杯目がビールからカルピスサワーになったこと。それだけなら何てことないのだけど、500mlのカルピスを別で毎日飲んでいることが後半でカミングアウトされて笑うしかなかった。
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