Street Knowledge by lobonabeat!, BILL STAX & oygli
SKRRGANGというレーベルのlobondabeat!, BILL STAXの両名に加えて飛ぶ鳥を落とす勢いのoygliが参加した3名によるアルバムがリリース。今どき珍しいどストレートなトラップビートに対して三者三様のアプローチがかっこいい曲ばかりだった。友人から言われて気付かされたのは、この手のトラップでUS、UKのゴリゴリのやつは1回聞くと疲弊して2周目するケースはほとんどないけど、このアルバムはいい感じで力が抜けていて何回も聞いてしまう中毒性があるということ。大ベテランのBILL STAXが若手2人に挟まれても遜色なくやっていることに感動するし、やっぱ今年はoygliの年だったな〜と思わされる彼の仕上がり具合も最高。好きな曲は相撲の押し出しをワードプレイした”Sumo” 力士=相撲になっているけどオモシロいので良し。
podo by Jambino
SMTM11で活躍したJambinoが1stアルバムをリリース。素晴らしいポップス的な感性をラップに落とし込んでいくスキルが存分に発揮された、彼らしさを存分に楽しめる作品だった。韓国ヒップホップのキャッチーな部分を最も体現しているといったも過言ではないくらい。feat陣はSMTMでのコネクションをフルに活用してLEE YOUNG JI, JAY PARK, Loco, toigoといった豪華メンツになっている。なかでもLocoとの曲はビートがGRAY。しかもモロにファレル節炸裂しまくりで最近の彼のビートの中でもかなり好き。その上を軽やかに踊るようにラップする2人がめちゃくちゃかっこいい。LocoのアルバムでもJambinoはComposerとして数曲に参加しているし、SMTMでの”Water”で相性の良さを両名とも感じたのだろう。2人でEPとか作って欲しい。好きな曲は”ping” 彼はラップ自体がポップネスに溢れているのでビートはちょっとドープくらいの方が相性がいいと思っている。
Blood & Bones(BLOOD) by Jin Dogg
J in Doggのアルバムが急にリリース。前作同様、二部構成となっているらしくBLOODサイドが先に聞けるようになった。1曲目からゴジラサンプリングの超バイオレントなドリルが炸裂しており、そのトーンでアルバムを走り切るというハイカロリーアルバムとなっている。こういうアルバムを聞くのはシチュエーションが限られるけど、仕事で腹立つヤツにメールするときにとても有用(当社比)。Jin Doggのラップは人を鼓舞するエナジーが本当にハンパなくて聞いているだけで自分が強くなった気分になれる。ヒップホップという音楽がもたらす福音の一つを最大限に体現してるラッパーだと思う。あとはガヤが日本のヒップホップの中でも最強クラス。Dipset以来Migos以降、ガヤはヒップホップの特に重要なファクターになっているが、ガヤのエナジーもエグいんすよねぇ…自分が若かったらライブ見に行ってはしゃいでたと思うし、先日のポッドキャストで話した日本のアンダーグラウンドで沸騰する詰め込むタイプのドリルに影響を与えている1人だろうなと思う。好きな曲は”OMG”
Wisteria by CreativeDrugStore
CreativeDrugStoreの1stアルバムがリリース。緩やかなコレクティブだった彼らが、各人の活躍を踏まえてどんなアルバムを作るのか楽しみだったが、思ったよりどストレートなヒップホップアルバム。いい意味で予想を裏切る好内容だった。というのもBIMやVavaのポップスフィールドに配慮したかのようなメロディ、コード感に辟易していたから。若者たちはそれを入口にヒップホップが好きになっているのだろうから裾野を広げる活動としては大きな意味があると思う。ただ2人のラップが好きなおじさんにとっては物足りなかったこの数年。そのフラストレーションがすべて解消されるような内容だった。特にVavaがオートチューンを使わずストレートにラップをかましているところにかなりグッときた。
各人の強みをグループにフィードバックするというよりもグループとして新たにサウンド像を作り上げていく姿勢がかっこいいなと思う。ビートはRascal、Vavaがメインを担い、doooo、DJ
MAYAKUが味変として機能。全ビートのクオリティが高い上に幅広いスタイルを抑えている。ここ20年くらいのビートのトレンドをさらっていくかのような感じなので、ずっと流していても楽しめた。個人的には”Menthol”のビギーの”Juicy”オマージュなドラム使いや”Retire”のダブステップにブチ上がり。好きな曲は”180”
LOYALTY by LUNV ROYAL
JETLIFE by JETG
LUNV LOYALの新しいアルバムがリリース。ドリルを積極的に取り入れた内容でめちゃくちゃかっこよかった。Watsonとも呼応するワードプレイの数々、デリバリーの豊かさ、声質の気持ちよさ。ラップのレーダーチャートにおいてキレイな五角形を描く全方位的なかっこよさがあり聞いていて気持ち良いし全く飽きない。 秋田出身でフッドをレペゼンするリリックがたくさんあるのが興味深い。最も顕著なのは”Shibuki Boy” 上ネタの笛の音色が本当にかっこよくて、下手うつとめっちゃダサい「和風」ビートになるところを絶妙なバランスで「和」を体現していると思う。これは日本人にしか作れないかも。あと”高所恐怖症”で自殺率が高い負の側面を曲に落とし込んでいる点もかっこいい。そして今作で一番フィーチャーされている、いぶりがっこ!語感がオモシロいし隠語としての使い方が最高だった。なので、好きな曲は”Iburi Gacko Flow Pt.2” これで「JETGかっけー!」となって友人からそのアルバムを教えてもらってヤンガンのドリルを色々ディグった今週でした。
Hood Boy Story by YELLASOMA
前にPanDeMicsを後輩から教えてもらって知ったYELLASOMAのソロ作品。リリックを引用しているくらいにかなりT-Pabrow節が強い。このスタイルだとフレックス系多いけど、彼は等身大のリリックでラップしていてギャップがオモシロかった。最近は本当に背伸びするリリックがなくなっている傾向にあり、自分の身の回りの話をいかにラップでかっこよく語るかレースになっていること再認識した。それは雰囲気よりも中身が大事ということであり音楽に対しても「リアル」を希求する時代なんだなーという隔世の感。そうなってくるとヒップホップは最強の音楽であり今若者に人気があるのはこういう点なんだろうなと思う。この観点で見ると彼のラップはとてもかっこいい!好きな曲は若者の考えが肌感で伝わってくる憂いを帯びた応援ソング”がんばっぺ”
TORiO by Only U, Tim Pepperoni & Puckafall
ラッパーのOnly U, Tim PepperoniとビートメイカーのPuckafallによるEP。オートチューンバキバキのSinging Styleで今っぽさ満点でかっこよかった。完全にユース向けの音楽だと思っていて、その中でリリックが興味深い。ADHDに対する価値観を反転させようと試みる”ADHD RiCHHH”とか、”±”で訴えるセルフケアの大切さ、自分達の色を”MULTiCOLOR”と呼び多様性を主張したり。自分が若かったら刺さっているだろうな〜というリリックが多く青春を感じる。(遠い目)こういうのを説教くさくなく、かつ絵空事でもないように聞かせる2人の自由なラップとPuckafallのキャッチーなビートが癖になった。好きな曲は”ADHD RiCHHH”
Ornamental by TERRACE MARTIN
2023年のTerrace Martinは本当に精力的で今回はクリスマスアルバムをリリース。オーナメントにあるのはMPC3000とシンセサイザーで今回のアルバムは生演奏というより打ち込みメインとなっている。(シンセは弾いているだろうけど)こういういい感じのインストは色んな場面で重宝するので家で結構聞いていた。いわゆるLAノリであるレイドバックしていてメロウなシンセサイザーな音色はいつまでも聞いていられる。ただクリスマス要素があるかといえば、それはパッケージング側の都合であり季節問わず聞ける内容になっていると思う。好きな曲は唯一のfeat曲である”Angle View” DJ Battlecat のトークボックスと Terrace Martinのボーコーダー&サックス、Courtyanaのボーカルのコンビネーションで荘厳な気持ちになった。
Sail the Seven Seas by Park Hye Jin
Park Hye Jinが2ndアルバムをリリース。Peggy Gou,Yaejiといった一連の韓国の女性プロデューサーの系譜にあるアーティスト。前作はNinja Tunesからのリリースだったが今回はセルフレーベルからのリリース。前作はそれまで彼女がEPで紡いできた四つ打ちに加えてトラップなどBPMの遅い曲を含めて世界観が出来上がっていたと思う。今回はこの何とも言えないインスタントなジャケのように作った曲を単純にパックしたようなミクステのような印象だった。個人的にはこう言うラフな感じでアーティストが表現したいものがダイレクトに伝わってくる作品は好きなので前作よりも愛聴している。なかでも終盤の”California”は日本受けするような泣きのシンセ(tofubeats”水星”とか)がたまらない。ただ好きな曲は彼女の本領が発揮される四つ打ち曲”Keep Going”
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