2023年2月13日月曜日

2023年2月 第2週

 Rainbow by Nihil

 新譜紹介サイト経由で知った新人。歌もラップもかっこよくてビビった…アルバムタイトルどおり各曲名が色の名前になっておりサウンドもそれぞれ異なる。ヒップホップ、R&Bもあればレゲエノリのものやフォーキーなものまで。どの曲もめちゃくちゃかっこいい。声が低いのでWooを思わせるところもある。なのでWooが好きな人には間違いなく刺さるはず。どの曲も魅力的なのだが最後にQ the trumpetのトランペットソロが泣かせる”Purple”が好きな曲。

feel you, kon by Rakon

 Rakonのアルバムがリリース。もはやクラシックと化したSINCEの”Spring Rain”で存在を知ったラッパーでシンギンラップ、いやもはやシンギンというレベルでかっこよかった。Leellamarzがfeatで参加しているが、彼とスタイル的には近い。まぁFeatにPaloaltoとThe QuiettのP&Qが揃い踏みしている時点で間違いない。ギターベースのヒップホップは日本でも流行っているし1曲目の”mistakes”とかdubby bunnyのサウンドタグ聞こえてきそうな感じなので、そういうのが好きな人にはおすすめ。久しぶりに聞いたThe Quiettのラップに昂った”fire danger”が好きな曲。

<3 by 1300

 オーストラリアベースの韓国ヒップホップコレクティブによるEP。いわゆる逆輸入型だけどオーストラリアというのは珍しいパターン。前作のアルバムのエッジな感じが好きだっただけに今作は個人的にはポップ過ぎたかも。タイトル通りLOVEがテーマのようなので仕方ないかもしれない。好きな曲は”brb”

I Have a Dream. by DJ RYOW

 名古屋のDJ RYOWによる13枚目のアルバム。続けることの重要性や意味を教えてくれる素晴らしいアルバムだった。ストリーミング全盛で細分化が進むシーンにおいて、こういったある種の「まとめ」は時代を切り取るアーカイブの意味でも貴重で大切なことだと思う。
 ビートを手がけるSPACE DUST CLUBのビートのクオリティがめちゃくちゃ高くなっていてUSや韓国と遜色ないレベルにある。その素晴らしいビートに旬のラッパーもしくはローカルのラッパーを呼んで曲にする。まさにHIPHOPのProduce業と言えると思うし、これは誰でもできるわけではなくラッパーからプロップスを得ている人間にしかできない。その中で1曲選ぶなら¥BとAnarchyの初めての邂逅”I know What”かな。。”MVP”、”Slide”、”Bling Bling”、”All Through the Night”とかもマジで好きなんだけども。それはそうとFREE ¥B!!

Beatitudes by J Rocc

 J Roccのビートアルバム。去年もリリースしてたのでかなり精力的で、なおかつ圧倒的にあ今回のビート集の方が好きだった。20世紀のゴスペルにインスパイアされて作られたビート集らしく確かにソウルフルなトラックが多かった。なかでもドラムの鳴りがデカくてピアノとサンプルの声がマッチしている”The Best”が好きな曲

Raven by Kelela

 Kelelaの久しぶりのアルバム。エレクトロニクミュージックといわゆるブラックミュージックの接合点的なアーティストのイメージがある。過去作に比べてかなりサウンドの抽象度は高く感じた。一方でインタビューにもあるようにブラックフェミニズムやアフローフューチャリズムの観点で音楽を捉えクラブミュージックへの愛がふんだんに詰まっている。音の気持ちよさがハンパなくて家で無限に聞いていた。KAYTRANADAとかMockyが参加しているけど、いい意味で彼らの色はそこまで出てなくてKelelaの音楽になっている。今回知ったLSDXOXOがProduceした”Bruises”が好きなタイプのハウスで最高。
 このアルバムの前段としてKelela&Asmara 『Aquaphoria』っていうmixtapeがあることを知って、それがアンビエントのその先みたいな音楽で最高だった。これも音がめっちゃ気持ちよいし、2019年にヒップホップでいうところのビートジャックをこんな形で作品にしているのがかっこいい。大元のsoundcloudは消えているみたいだけど、誰か有志の人がYoutubeで権利対応してアップロードしてくれている。

Audiodidactic by Lance Skiiwalker

 TDE所属、シカゴ出身のラッパー。揺蕩うようにフローして歌っているようなラップしているような、いやポエトリーリーディングに近いのか、それがかっこよかった。しかもこのスタイルに珍しく比較的オーセンティックなドラムとベースのビートだから余計に新鮮に感じた。”Sample Talkは ベースのかっこいい曲の上でLance Skiiiwalker & Isaiah Rashadがサンプリングのかっこよさについて語っていて斬新な曲だし、タイトル曲の”Audiodidactic”や “(Ni)Radio Whispers”とかはほぼインスト。TDEって割とスピット系のイメージがあるので彼の存在は意外。前のアルバムも聞いたけど同じようなスタイルなのでこれが彼のスタイルなのだろう。好きな曲は”Everybody Hurts Somebody”

Girl in the Half Pearl by Liv.e

 先月のリードシングルを経てついにアルバムリリース。いきなりドラムンっぽいのから始まって意表をつかれつつ、そこからは音の洪水にただ身を浸すのみ…という感じだった。今どきこんなにジャンルで形容できない音楽をやっている人はおらず、圧倒的なオリジナリティがあると思う。いろんな音がコラージュされているけど調和しているし、ただ単にアブストラクトなだけではなく根底にメロウネスがある。なのでドープ一辺倒というわけでもなく飽きずに聞ける。あとイヤホンとスピーカーで聞くのでは全然音の聞こえ方が違ってびっくりした。(特に”Clowns”とか”Snowing”のハイファイ系のサウンド)好きな曲は展開がかっこいい”RESET!”

The Rebirth of Marvin by October London

 Snoop Dogの支配下となったDeath Row Records所属のR&Bシンガーのアルバム。ライターの川口真紀さんのポストで知った。タイトル通りMarvin Gaye再誕!といっても過言ではなく、声が似過ぎ。その声でトロトロのR&Bを歌われたらそれはもう最高…しっかり今の音というか懐古主義ではなくヒップホップ好きが好きなソウルミュージックになっていて、その辺はSnoop御大の意向かなと思う。あと合間にSnoopがシャウトしていてミックステープっぽさがあるのも好きだった。
 これまでSnoopのアルバムでFeatでいくつか参加しているので聞いているはずと思って聞き直すとそのときはマービンっぽさはそこまで感じない。今回はビート含めて完全に仕掛けている模様。好きな曲はカッティングギター、サックスの音が気持ちいいミッドチューン”Make Me Wanna”

Space 2 by Marlon Craft

 okayplayerの新譜紹介で知ったNYのラッパー。メロウなトラックの上で内省的な内容をスピットしておりかなり好き。Mac MillerやKota The Friendとか好きな人には刺さるはず。日本で人気出そうな感じなのに全然聞いたことない割に他国ではかなり再生されている。アンダーグラウンドなラッパーでもいい曲出していれば報われるのはストリーミング時代の産物だと思う。ひびの入った窓をそのままにしておいてくれとフックで言い放つ”Window Cracked”が好きな曲。

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