火星の生活 誠光社の雑所得2015-2022/堀部篤史 |
blackbird booksのインスタのポストで見かけて気になったので読んだ。京都で本屋を営む著者が見た、聞いたカルチャーをベースにいろんな話をしていて興味深かった。
読むきっかけになった印象的なタイトルはリドリー・スコット監督の「オデッセイ」からインスパイアされたものらしく、本屋も火星のようなもので孤独と共に商いを続けている、という見立てからしてオモシロい。一番好きだったのは「2018-2022の業務日誌」という章。ゴリゴリの本屋論考がふんだんに含まれており久しぶりにこういう強い思想に触れて楽しかった。 特に「街に本屋が無くなって悲しいね…」と物知り顔でいう前になんでそうなったか考えてみろや?という至極真っ当すぎるツッコミとそれを自分のお店のスタイルで回答していく姿勢がかっこよい。くらったラインを引用。
「おすすめの本は?」という問いに対し、「あなたは誰ですか?」という問で返す方が、文学的ではないか。個人に対しておまかせでせん諸氏、本を届けるサービスが一時話題になったが、どうしても馴染めないのはそんな理由からだ。文学や芸術はとかくビジネスと相性が悪い。
世の中に存在することすら知らないものは、検索など不可能である。その上で、検索ですべてが完結している錯覚を覚えてしまうと、現実に存在する「可能性」は不可能なものとして覆い隠されてしまう。
著者が京都出身でお店も京都にあるということで、街をレペゼンしている内容が多い。たまたま以前に旅行で訪れた際、言及されているエリアをフラフラ歩いていたので記憶が呼び戻された。誠光社は是非行ってみたい。
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