昨日のDaichi Yamamotoの熱が冷めやらぬ中、Campanellaのワンマンを見てきた。そのラップスキルは音源から明らかだが、そのスキルはライブでも同様で圧倒的なラップ力を堪能したライブだった。
「Mi Yama」からライブはスタートし。JJJによる<ステージは崖みたく尖り そこから言葉が殺し合う>というラインが、ライブの幕開けを宣言しているようだった。続く「Friendskill」でフロアはいきなり爆発。今回のライブは最新作『Cerosia』を中心しながらも、キャリア全体を振り返るような構成となっていた。
会場はWWWXで、とにかく出音が最高だった。Ramza、shobbieconzを中心としたビートの重低音が鳴り響き、クラブミュージックとしてのヒップホップを体現していた。 坂本龍一サンプリングの「Douglas Fir」がその最たる例で、ストリーミングでは伝わらない音の迫力を感じた。そんな「Douglas Fir」の前にぬるっとステージに現れたのはKID FRESINO。ここでまさかの「Douglas Fir」のKID FRESINOバースによるREMIX!今回初めて聞いたREMIXだったが、Campanellaに負けないラップ巧者っぷりを発揮。そのまま「Puedo」まで続き、序盤から贅沢な展開となった。
クラブ的アプローチという観点では、レゲエパートも最高だった。Max Romeo「Chase The Devil」をサンプリングしつつ、そのフレーズをまんま日本語に置き換えてる曲(「NANKAIDEMONELL」のREMIX?)から、ダンスホールチューンの「Bell」という流れは抜群だった。
先のKID FRESINOに限らず、客演陣を迎えたパートはどれも盛り上がっていた。
仙人掌は最新アルバムの「SOFT」で参加。Campanellaの抑制の効いたバースと対照的に、バイブス高いラップでかっこよかった。彼のバースはキャッチーな韻のおかげか、他の曲に比べてシンガロング率が高かった。<さながらプッシャーとマリス>で私も叫びました。
盟友C.O.S.A.も登場。「Monarch」で破壊力抜群のバースをキックし、身体の大きさそのままにラップがデカいというか、声のアタック力、安定感がケタ違いだった。昨年リリースされたDJ Scratch Niceのアルバム収録曲「Spent Time」も披露。ここで初めて王道のヒップホップビートが鳴ったことで、Campanellaの楽曲のオリジナリティが逆説的に顕著になっていた。
客演MVPを挙げるなら、鎮座DOPENESSだろう。彼の登場で空気が一変して、一気にお祭りモードへ。「Raga」「concent」の2曲で参加。「concent」の前にビールをCampanellaから促されると「飲むとこの曲はラップできない」と固辞するプロフェッショナルな姿勢を見せつつ、実際にステージを見ると、その言葉を証明するような圧倒的なバースをキックしていた。
そこへSTUTSが加わり、お祭りムードはさらに加速。始まったのは、なんと「Sticky Step」。今となってはCampanellaと鎮座DOPENESSの組み合わせは鉄板だが、最初に提示したのはSTUTSだった。そして同曲収録の「EUTOPIA」のリリパが同じくWWWXだった、というエピソードがSTUTSから披露されて時の流れを感じた。
続いて、Daichi Yamamotoが登場し2日連続で「YAMAMOTO」。昨日の彼のライブも圧倒的だったが、WWWXのスケールで見る彼のライブは迫力が倍増。昨日とまったく同じ流れでSTUTS「Expressions」へ。しかし、この日は鎮座DOPENESS、仙人掌まで追加された超豪華バージョン。「Let's get ready to rumble!」と言いたくなるようなマイクリレーの口火を切ったのは、まさかのSTUTS!彼の弾ける笑顔と高いバイブスに呼応するような、各ラッパーのテンションも一気に上がっていた。これだけBPMの速いマイクリレーは最近なかなかないし、このメンツで見れたのはアツかった。最後は最新アルバムから「Bollard」をSTUTSとしっとりと披露していた。
KID FRESINOは冒頭だけではなく再度登場。「supaflat」が始まる前に、Campanellaは「難しいんだよなぁ」と本音を漏らしながらスタートして、実際に曲の一部をフロウし切れていなかった。KID FRESINOはその様子を見てステージ上で爆笑しながら、自身のバースを見事に蹴り上げていた。ラップ魔神のCampanellaでも苦戦する曲があるのか、と彼の人間性を垣間見た。
冒頭でもJJJにフォーカスしていたが、再びのJJJパートは「Eye Splice」のRemixが投下されてフロアは大爆発。このテイストのドリルの曲がこんなに神格化されるなんてリリース当時は思ってもみなかった。さらに「Something」、「Filter」も聞くことができた。この日披露されたJJJ関連曲を最後に聞いたのは、JJJ JULY TOURだったので、やり切れない思いが去来しつつも、こうやって曲は歌い継がれることで、JJJは曲の中で生き続けるのだろう。
そして、個人的に一番感動したのはラストで、まさかの『PEASTA』パート。聞き慣れた「Indigo」のサンプリングネタが流れ、そこから「Indigo」へ。事前インタビューで「ワンマンだからこそできる構成を」と語っていたので、少し期待はしていたものの、まさかやってくれるとは。さらに「YUME no NAKA」、「PEASTA」まで披露されて感無量…Tシャツが震えるような低音にもグッときた。帰り道に久しぶりに聞き直したが、このアルバムのマスターピースとしての佇まいは唯一無二。今年でリリースからちょうど10年のようで、それを記念して披露してくれたのかもしれない。客電がついてライブは終了したものの、あまりにもしっとりしたエンディングだったからか、観客からアンコールの拍手が鳴り止まず、最後にもう1曲だけ「ウワッツラ」を披露していた。
ラップが上手いラッパーはいくらでもいる。しかし、Campanellaは、その唯一無二のラップが、インダストリアルで実験的なサウンドと結びついた瞬間にしか生まれないオリジナリティを持っている。キャッチーさに頼ることなく、重低音が鳴り響く空間で飄々とラップし、観客を熱狂させる姿はどこか仙人のようだった。次の作品がリリースされるまで時間がかかるかもしれないが、その際にはまたライブに遊びに行きたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿