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| 昔の会社員はどうやって仕事をしていたのか vol.1 |
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| 昔の会社員はどうやって仕事をしていたのか vol.2 |
blackbird booksのインスタで見かけてジャンピング購入。AIが本格的に仕事へ導入されつつあり、大きなパラダイムシフトが起こりそうな今、過去の仕事のあり方を見つめ直す試みがとても興味深かった。
著者は80年代生まれで、自身より上の世代である70年代、80年代に入社した方々へ仕事の進め方をヒアリングし、その内容と現状を比較しながら論考が展開されている。生活史の仕事版のような一冊で、各人がどのようなキャリアを歩んできたか。今でこそ個人のキャリアパスに関する情報はネット上に溢れているが、インターネット以前の「普通のサラリーマン」のキャリアはなかなかアクセスできない情報であり、そういう意味でもZINEという媒体の強みを感じる。
vol.1では著者の伯父への聞き取りが中心なのだが、PCによって当たり前になった業務が、手作業だった当時の現実の数々に驚くしかなかった。特に製品台帳が大きな模造紙だったという話は衝撃的だった。とはいえ、現在、PC上で行っている作業内容を逆算して考えると、模造紙くらいしかないか…と勝手に頭の中でリバースエンジニアリングしていた。他にもFAXが登場した際に「紙が物理的に飛んで届く」と思っていた女性部下のエピソードなど、時代感覚の違いがオモシロい。
vol.2では広告業界とメーカー営業の2人に話を聞いている。vol.1でそろばん→電卓→PCという流れを通じて、「計算」が仕事の中心を担っていたことにフォーカスしていたが、vol.2では歴史を深掘りしながら、「仕事は読み書き、そろばん」をキーワードとして、計算機からPCまでの発展を解説してくれていて勉強になった。現在の当たり前が当時は革新的だった技術だと知ると、AIもいずれ社会へ溶け込んでいくのかもしれない。私が働き始めた2010年代には、すでにPCも基本的なソフトも存在しており、ここまで大きな変化の波をリアルタイムで経験するのは初めて。だからこそ柔軟に受け止められる人間でありたいと思う。
70〜80年代は「モーレツ社員」と呼ばれる働き方が当たり前で、日本の経済成長は過重労働によって支えられていたとも言われる。しかし、当時の仕事における「計算」にかかるコストを知ると「そらそうやろ」という感想しか浮かばなかった。テクノロジーの進歩によってコストを圧縮できるようになった分、他のコストが上乗せされている状況ではあるが、「たくさん働いたら、それだけ成長する」という盲目的な神話を復活させようとする現政権の労働観はやっぱり理解不能だなという思いを新たにした。


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