2026年3月22日日曜日

PAPER DIARY VOL.01

PAPER DIARY VOL.01

 タラウマラのポストで知って読んだ。(タラウマラでは、すぐに売り切れてしまったよう。1003では買えるようなので、そちらのリンクを貼っておきます。)印象的な表紙はさることながら「ラップコラム」の文字を見て即購入したのだった。どのページも読み応えバッチリで、古本の世界の理解の端緒に立つには格好の一冊である。

 梁山泊、マヤルカ古書店という古書店を経営されている二人の雑談と各自のコラムで構成されている。文字のフォントが何種類も使われていたり、紙の色も複数使っていたりと見た目にも面白い仕掛けがたくさんあり、まさにZINEという作り。肝心の中身は、古本屋当事者による、良い意味で外向けに成形されていない、ざっくばらんな話が貴重である。特に印象に残ったのは、「本屋経営が慈善事業のように見えることへの違和感」という指摘だ。近年の本屋をめぐる言説では、苦境や理想が強調されがちだが、「本を売り、買い取り、それで生活している」という当たり前の事実に立ち返る。斜陽産業とはいえ、たくさんの人が本を読んでいる現実があり、それを買い取って稼いで生活している人がいるのだ!という古書店としてのプライドを感じる数々の議論は読んでいて刺激的だった。また、インターネットで調べれば、なんでもわかる時代にあっても、古本屋ジャーゴンの数々はこういったテキストを読まないと一生遭遇しない日本語なので興味深かった。

 レビューを中心とした承認欲求のくだりは、新しい本を読んではレビューしている身からするとドキッとする内容だった。色んな人間の戯言が世に蔓延る中で、他者の評価を気にしながらやっていかないといけない今の商売の難しさ、というのは言われてみて初めて気づかされた。

 コラムも面白く、マヨルカ古書店の店主の「ペーパーチェイサーは古本屋の夢を見るか?」では、読書遍歴と共に語られる過去への眼差しが印象的だった。昔のことがたくさんレミニスされ、特に漫画の貸し借りが生んでいたコミュニケーションは思い当たることがたくさんあった。

 そして、一番楽しみにしていたのはラップコラムである。梁山泊のソウタさんは大阪時代に何度かお話しさせていただいた近い関係の人だと買ってから気づいたのだった…すごい偶然!当時、ヒップホップの話をした記憶もいくらかよみがえり、20代前半だった私が無礼なことを言っていたかもしれないと読みながら肝を冷やした。なぜなら、ソウタさんがゴールデンエラである90’sヒップホップ愛好者だからだ。自分自身もその時代をルーツの一つとしているが、同時に流行や変化に応じて好みを更新してきた。一方、ソウタさんはブレずに自らの好きな基準を貫いていることがコラムを通じて伝わってきた。今の時代、こういうブレなさを文字できちんと表現している人は少ないので、このコラムは今後も楽しみだ。そして、このブレないマインドはおそらく仕事にも発揮されているのだろうことが雑談パートからも伝わってきたのであった。

 ZINEの中にシリアル番号が付されており、限定100冊のようなので気になっている人はマストチェック。

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