49 by Keem Hyo-Eun & DON MALIK
Ambition Musikからまさかの2人、Keem Hyo-EunとDON
MALIKによるデュオアルバムがリリース。タイトルの49はアメリカのカルフォルニアにおけるゴールドラッシュの年であり、金塊を求めたものたちを49ersと呼んだ。彼らは「ヒップホップ」というゴールドを追い求める男たちだ。Keem
Hyo-Eunは数年ぶりにオフィシャルなクレジットのある作品となるが、これが本当にThis
is HIPHOP!!と言いたくなる最高の作品だった。
DON
MALIKが変幻自在のフロウでラップのスキルを見せつけているのに対してKeem
Hyo-Eunの落ち着いたスタイルの相性が抜群。声色も結構違うのでデュオとしてキャラの区別がついていて良い。1曲目からDok2をfeatで召喚、他にも”grow”にp-typeとVerbal
Jintも参加していたりOGへの敬意を込めつつアップデートしたかっこよさがある。1曲目にDok2を迎えたのはKeem
Hyo-EunがAmbitionから最初にリリースしたEPに対するオマージュだろうし、p-typeとVerbal
Jintの参加は彼らがSNPというクルーを組み、韓国語による多音節ライムを編み出したことを考慮すると揃い踏みする意味が増す。(詳しくは名著「ヒップホップコリア」を参照)Ambition
musikがフルアルバムをYoutubeに英語訳詞付きでアップロードしてくれているおかげでリリックも知ることができた。Keem
Hyo-Eunの不在は鬱によるものであることが示唆されていたり、同期のchangmoやHash
Swanほど上手くいかなかったことを吐露したり。彼のストレートかつリリカルな言葉がとても響く。2人ともオーセンティックなスタイルを貫きつつ研鑽をやめずにスキルで魅せていく、これがヒップホップだよな〜と改めて。DON
MALIKには「色々疑って本当にすまん!」と勝手ながらに去年の無礼を謝りたい。ヒップホップと加齢について歌っている”grow”が一番好きな曲
THE CORE TAPE, Vol.3 by Dok2 & Holly
Miyachi, JP THE WAVYによる新曲のビートがHollyという彼らにしては変化球なスタイルなことに驚きつつ、見落としていたDok2との共作アルバムを聞いた。オーセンティックなものから変化球まで幅広いビートのスタイルに対してDok2がかっこよすぎるラップでビートをねじ伏せていき曲としてかっこよくなるという恒例の流れ。リリックの韓国語が増えてきているし、最近のfeatの参加も韓国シーンへの復活に向けて地ならしなのかなと邪推。好きな曲はここ数ヶ月で一番ブチ上がったビートに対してまさかのKillagramzをfeatに迎えてばチバチにかましまくりな”Gushers”
HDISMYPRODUCER 2, AliveFunkISMYPRODUCER by kitsyojii
一体どうなっているのか、異常なリリースペースが続くkitsyojii。フルアルバム『#freekitsyojii』を持って引退するらしい…ラッパーあるあるの引退詐欺によるアテンション稼ぎなのか。アルバムは来週に書こうと思うけど、まずはこの2作。HDBL4CKはおかわりで登場。正直今この手垢のつきまくった「ブームバップ」的なものでアガる要素はほとんどなく…やっつけ感は否めない。他のスタイルができることを知っているからこそかもしれない。一方でAliveFunkとの共作は歌へのチャレンジがたくさんみられて良い。単純にAlive Funkのビートがかっこいいという話もある。シンセ使いのモダンファンクはいつだって最高。好きな曲は”Ping Pong”
bury. by punchnello
AOMG所属ながらAOMG感がほぼないpunchnelloによるEP。『ordinary.』の最後の曲”Homesickness”という名曲の延長線上にあるようなchillなムードになっていた。前作がかなりインダストリアルで音数少なめのハードなサウンドだったのからの揺り戻しなのか。寒い中、このEPを聴きながらチャリを漕いでいると最高にフィットしたので完全に冬のEP。彼の好きなところはこういうゆるい曲でも歌うのは基本フックだけでしっかりバースはラップするところ。好きな曲はそんなラップが堪能できる”wind”
four by IO
Def
Jamに所属してから2枚目となるアルバムがリリース。KANDYTOWNが活動休止したこともあり各人のソロの活動に注目が集まる中、いかついアルバムをしっかり用意しているあたり流石としか言いようがない。正直『Player’s
Ballad』はタイトル通りバラードが過ぎた。Singing
Styleの中でも声が細く、それが魅力ではあるものの歌う一辺倒だとお腹いっぱいになった。今回はラップの量も適度に増やしつつ、得意のムード満点な曲もありつつでバランスが取れておりアルバムとしての完成度がとても高い。またWatsonとの曲に顕著だけど、上手いこと言うスタイルも積極的に取り入れることで風通しの良さもあり聞きやすくなっていた。(Watson、Jin
Doggがいてドリルをやらない美学よ…)GQの密着動画で制作の風景が流れていたがGooDeeとのディスカッションで作ることが多いようでサウンドとラップの調和もかなりうまくいっている。
そして韓国ヒップホップ好きとしてはGRAYのビートが入っていることは見逃せないポイント。既発シングルでGRAYのビートに初めて乗る日本人がIOというのは意外!と思いつつ、シングル単体で聞いたときの物足りなさはなくアルバムで化けた。ラッパーというよりもプロデューサー気質なのだなと改めて感じた。あとInterludeが入っているの日本のヒップホップのアルバムは最近ほとんどない中で彼がやると嫌味なく「アルバムで聞いてくれ」というメッセージになるのもかっこいい。好きな曲は英語に逃げず、フリーキーなフローで新自由主義的価値観をレップする”AMIRI
DENIM”
Welcome 2 Collegrove by 2 CHAINZ & Lil Wayne
2016年にリリースされた『Collegrove』の続編。Meek Mill、Rick Rossによるデュオアルバムに続いて、この2人がリリースしてくる流れに時代を感じる。やはり大御所なので安心して聞けるし逆にいうとUSの新譜とかはもう追い切れていないことを逆説的に感じた。今のトレンドとは関係なく、まさに2010年代ど真ん中をやり抜くスタイル。音楽の消費速度が上がっているからリバイバルするのも速くなっているのか、めちゃくちゃ新鮮に聞こえる。featはUSHER, Fabolous, Rick Rossなどの往年のメンバーもいつつ、21 savage, Benny the Buther, Voryなど今のラッパーも入っていてバランスの良い配置。Bangladesh、Mannie Fresh、Hitmaka、Mike Deanなどプロデューサー側も万全なメンツの中で意外だったのはHavocが2曲も参加していること。これでアルバムが締まっている印象を持った。好きな曲はリフが懐かしさを感じざるを得ない”Millions From Now”
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