思いつつもスルーしてきた中でやっと購入。
著者の植本一子さんは写真家なんですが、
僕はラッパーECDの奥さんという認識で読み始めました。
本作は働けECDというブログでの日記と、
いくつかのエッセイで構成されています。
エッセイもそれはそれはオモシロいのですが、
僕はブログで綴られる日記が好きでした。
とにかく「生活する」ことがいかに大変で豊かなのか、
そのことを知ることができる。
彼女の文章は暮らしのリリックそのもので、
最近よく聞いているZONE「生活日和」と
シンクロする部分が多分にありました。
「大変なことくらい知ってらぁ!」
と言いたくなるかもしれせんが、
植本さんの恐ろしいまでに正直な気持ちが
どうしたってこちらの胸を打ってくる。まさに「かなわない」
2011年の日記は放射能に関する言及が多く当時の空気を思い出すし、
旦那であるECDはアクティビストで社会問題に敏感なのに対して、
彼に安易に乗っかるわけでもなく、
自分の考え、気持ちを整理している様がかっこいい。
ブログはほぼ育児日記の様相を呈しているんですが、
ここも恐ろしいほどに正直。いや正直過ぎる。
年が経つにつれて写真家、
ひいては1人の人間としての自我が強くなり、
子どもたちを育てること、ECDとの生活が嫌だ!離婚!
とはっきり書いている部分がありました。
間違ったことは頭ごなしに糾弾される世界で、
しんどいことをストレートに書くことって勇気がいりますよね。
ただ、その糾弾する人は当事者ではないことも多いと思うんですよ。
似たような状況の人からすれば
「自分だけじゃない」と安心することもあるんだろうなと。
それは相対的に自分の位置を確認するというよりも、
感覚の共有なんだと思います。
あと自分に自信を失って他者に依存し過ぎてしまう、
という終盤の話も勉強になりました。
あるべき家族の形を外側から定義しようとすることほど、
窮屈なことはないにも関わらず、
他人が干渉してきたり国が干渉してきたりする。
自由であることの尊さを学べた気がします。
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