2016年4月19日火曜日

王国

王国 (河出文庫 な)


中村文則作品。
今年中に全部読みたいなーと思っていて、
文庫化した本作を読みました。
本作は掏摸という作品の続編というか、
掏摸と同じ登場人物が登場します。
そこで掏摸を改めて読み返したんですけど、
サスペンス性と純文学性のバランスが抜群で、
超オモシロかったです。
掏摸も本作も作品内で一応完結してるんですけど、
続けて読むと多層的に味わえるので、
ぜひ両方とも読んで欲しいです。
話の筋立てとしては似ていて、
ある強力で全知全能レベルの悪に対して、
主人公が逃れようとするお話です。
掏摸が幾分受動的というか、
運命に翻弄されていく要素が高い一方で、
本作はもっと悪に立ち向かっていく姿勢が強かったです。
主人公が女性でファムファタールな
仕事をしていることもあって、
駆け引きのオモシロさが際立っています。
とくに中盤に悪の権化、木崎と初めて対峙するシーンは
ハラハラするし濃厚な死の香りがたまらない!
中村さんの本は毎回文庫に彼自身の解説が載っていて、
それを読むとさらに小説の構造の理解が深まって、
二度美味しい作りになっているので、
文庫になっている作品は、
文庫で読むことをオススメします。

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