2016年4月3日日曜日

七日間じゃ映画は撮れません

七日じゃ映画は撮れません

神保町の古書店でsarvageした1冊。
宇多丸師匠が帯コメントを書いていますし、
伊賀大介氏もプッシュしていたので、
楽しみにしていました。
本作は映画を題材にした小説なんですが、
映画を撮るということをダイナミックに描いていて、
オモシロかったです。
映画を語る際に多くの場合は、
監督、俳優を切り口に語られると思います。
しかし、映画は総合芸術であり、
美術、照明、撮影、脚本、録音といった、
複数の要素が有機的に絡み合って
初めて作品として成立するのである。
という考えに基づいた異常なまでの映画愛に
満ちているのがオモシロいポイントだと思います。
小説の構成もそれぞれの職人が
どういった人物かの背景、
プロフェッショナル性を1章ごとに描いた後、
そのメンバーで撮影した映画の撮影記が描かれる作り。
とにかく各メンバーのキャラ立ちが抜群なんですが、
良くも悪くもジャンプのキャラクターのようでした。
というのも、それぞれの章はオモシロいんだけど、
終盤に皆で集まってからは、
皆が物語に酔っている印象を持ちました。
それは本作内で作られる映画の抽象性が原因だと思っていて、
もっと分かりやすいアクションだったら、
エモーションで押し切られたかもしれません。
僕が本作でもっともオモシロかったのは、
作中で引用される映画の数々です。
「〜のような」という例えで、
数多くの映画が作品内で引用されているんですが、
作品に没入しているので、
「こんな気持ち、状態になる映画ってどんなん?」
となり、映画レビュー本を読むよりも
コレ見てみたい!となった作品がたくさんありました。
映画好きな人は読むと、
映画への愛がより一層高まる気はします。

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