スプートニクの恋人/村上春樹 |
サクッと小説読みたいときにた妻の本棚から村上春樹を借りて読むシリーズ。スノッブ性のブレなさが伝統芸能であり、その系譜にあってオモシロかった。
主人公は小学校の先生である男性、そのメイツが小説家志望の女性すみれ。そのすみれが恋焦がれるのはミュウという女性。主人公→すみれ→ミュウという三角関係をベースに話が進んでいく。主人公が人生に対する一種の虚無感を抱いており、それを客観視しつつ恋愛模様が描かれるのおなじみの展開だと思う。著者の小説で好きな点は登場人物のディテールが細かいところ。食事とか趣味とかすべてにスノッブを感じる。落ち着いていてクールで比較的うまくいく俺という外面に対して、内面は繊細でそれなりの葛藤を抱えている。
本著では人間の二面性がフォーカスされており、いろんな登場人物ごとにそれぞれの二面性に関する話が展開されるので興味深かった。人間は誰しも二面性を有しているが、それらをすべて理解できる他人もいなければ自分自身でもわからない部分は多い。理解されないことを孤独に抱えて生きていくしかないのである、という孤独にまつわる議論も含んでおりそこもオモシロかった。その孤独の象徴がスプートニクという人工衛星なのもスケールが大きくてまさに小説。
また他人との違いとして、国籍の違いや同性愛といった設定を1999年という早い段階で導入しており先進性を感じた。今は「ダンス・ダンス・ダンス」が気になっているので読書に煮詰まったら読みたい。
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