永い言い訳が小説も映画も素晴らしかったので、
過去の小説を読み進めています。
本作は映画化されていない作品で戦争のお話。
第二次大戦が終戦して70年近く経っている今、
戦争についてどういう切り口で書くのか、
というのは難しいところです。
一方で戦争体験者から直接話を聞くことが
難しくなってくるこれからは、
本の役割がますます大きくなってきます。
本作はあとがきによると伯父さんの体験記に
肉付けしている小説のことなんですが、
西川監督らしい視座だなーと思いました。
当然、戦争自体は辛いことなんですが、
それだけじゃないという物語を丁寧に紡いでいます。
つまり、生身の戦争が差し迫ることなく、
終戦を迎えた人もいたでしょうということ。
大多数に埋もれてしまう、
個々人のストーリーが僕は好きなのでオモシロかったです。
戦後の今読むと、戦争に関わることなく、
無事に生き残れて良かったねという見方ができますが、
その時代を生きる中で、
戦争に参加している当事者性が無いことに虚無感を感じる、
という見方は新鮮に感じました。
すでに戦争が終戦したことを知っている主人公たちが
電車で日本を横断するロードムービーのような設定が良くて、
電車の外で繰り広げられる光景と
自分たちの知っていることのギャプが印象的に対比されてました。
(主人公たちの別れのシーンは分かっちゃいるけど涙…)
そして終着駅は主人公の地元である広島。
何をか言わんやって話ですが、
決して下を向くわけでは無いラストも好きでした。
西川さん自身のあとがき、高橋源一郎さんの解説も抜群。
興味ある人はあとがき/解説→本編でも良いかもしれません。
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