2017年1月7日土曜日

草原の実験



信頼するマイメンの去年ベスト!
と聞いて見ない訳がないということで見ました。
久々に前情報、一切なしで見たこともあって、
かなりグッとくる映画でした。
ロシア人監督の作品なんですが、
セリフが一切なく時代背景の説明もありません。
1人の男と少女が草原にある部屋で
共に暮らしている姿を描いていきます。
セリフがないにも関わらず恐ろしく雄弁!
それは映画が持つ画面、ショットの力に基づくもの。
基本フィックスが多いんですが、
光と影の使い方を含めた完全に計算された
画面構成で映し出される自然 界が恐ろしくかっこいいし、
ここぞ!というときに手持ちカメラを使う。
緩急のつけ方が素晴らしかったです。
さらに本作を特別ものにしているのは、
主人公の少女を演じるエレーナ・アンの圧倒的魅力。
必ず近いうちにハリウッドデビューするだろう、
その美貌と仕草におじさんは心を撃ち抜かれました。
とくに白人の青年と知り合ったときの、
あのハニカミは必見だと思います。
(私が気持ち悪いことは百も承知です。)
抑圧された環境に身を置かれた少女が
自分の力で外の世界へと旅立つ、
このテーマは僕の去年2位だった裸足の季節と
似たようなテーマなんですが、
本作ではそれがなし得ることないまま、
想定外!と言わざるを得ないラストが待っています。
文明との衝突という話だとは思いますが、
それまでの世界観との違いに良い意味で腰を抜かしました。
本作に大林宣彦監督が寄せているコメントが
最高だったので転載しておきます。

映画は長方形。光と影の芸術。
ロシアの大自然も人の暮らしも、
この映画的制度の整いの中で息を呑むほどに美しい。
声の要らぬ映画だがラストに至り
「陽はまた昇りまた沈む」の宇宙の法則に反する、
衝撃の言葉を発する。
人みな、この映画と対話せよ!
公式サイトより)

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