2017年3月22日水曜日

モアナと伝説の海



<あらすじ>

かつて世界を生んだ命の女神テ・フィティの心が、
伝説の英雄と言われたマウイによって盗まれ、
世界に闇が生まれた。それから1000年にわたり、
モアナの生まれ育った島モトゥヌイでは、
外洋に出ることが禁じられていた。
そんなある時、島で作物や魚たちに異変が発生。
海の不思議な力に選ばれた少女モアナは、
いまもどこかで生きているマウイを探し出し、
テ・フィティの心を元あった場所に戻すことができれば
世界を救えると知り、父親の反対を押し切り大海原に旅立つ。
映画.comより)

ディズニー映画の最新作ということで見ました。

昨年見たズートピア、ファインディング・ドリーの
クオリティの高さに比べるとアレな感じでしたが、
アナ雪のエルサばりにプリンセス自らが立ち上がり、
然るべき成長をするという点ではオモシロかったです。

※ここからは盛大にネタバレして書きます。


最近のディズニー映画では、

本編の前に短編アニメーションが用意されているんですが、
それがなかなかマッドな仕上がりで苦笑いしてしまいました。
サラリーマンが仕事に束縛され、
自らの願望が抑圧されているところから、
自分の気持ちに正直に生きる過程を描いています。
祝日、昼間、ビール飲んで楽しい気持ちで
映画を見ようとしていた大人へ
冷や水をぶっかけるような内容でくらいました…
それはさておき、本作はモアナの子どもの頃から始まり、
彼女が世襲で村の女王として君臨する過程と、
この世界の成り立ちの背景が並行して描かれます。
モアナは島の外、海に心を惹かれているものの、
1人娘として村の王でもある父親から
過保護に育てられているため海に出ることを許されません。
女王として一人前になろうかという頃に、
島全体で植物、漁業が原因不明の不作に陥る。
モアナは唯一の理解者である祖母との対話を通じて、
島の外に解決策があることを知り、
なんとかして島の外に出て問題を解決しようとする。
前提としてモアナは海に選ばれた神童という設定が
あるんですが、ここに結構抵抗があって…
この時代に特別なオンリーワンかつナンバーワンな
主人公を持ってこられても乗りにくい。
海がほぼチート機能状態で、物語を進める上で
都合が悪くなると海が何とかしてくれる。
モアナが1人で小舟で海へ出たときには、
容赦なく海の怖さが襲うのに、
終盤の決定的場面では彼女を助けてくれる。
優しさと怖さの部分にロジックがあれば、
全然ウェルカムなんですけどねーそこは皆無。
ただモアナが自分の島を救うために、
何とかサバイブしている姿は、
おじさんからすると可愛く感じました。
途中、マウイという神のような男が登場し
バディムービーとなっていくんですが、
バディ間のコンビネーションが見れなかったのが、
もったいないなーと思いました。
マウイは何にでも変身できるという、
またもやチート機能を持つキャラで、
2人のチート機能をかけ合わせて、
オモシロいことできそうなのに…
マウイがモアナと打ち解けていく過程は好きで、
モアナが航海術を身につけていくシーンが
もっとも成長が分かりやすくて良かったです。
(あと遭遇する海賊がイオークみたいで、
乱暴だけどカワイイというGAPがナイス!)
設定的にアナ雪と近いと思うんですが、
エルサのように負い目を感じる部分を
モアナが持っていないので
物語にカタルシスが生まれにくくて、
全体にノペーッとしたお話に見えてしまう。
それでもある程度楽しめるのは画の力でしょう。
自然表現は「ほぼ実写やん!」と思わず
口に出てしまうぐらいのクオリティ。
とくに夜の海のシーンは本当に美しかったし、
終盤の溶岩での戦い→緑化のシーンは、
画の力で「世界が救われて良かった…」と思わされました。
1人の少女の勇気が
保守的な大人の世界を変えていくという帰結は、
最初の短編アニメーションとも通じていました。
然るべき少女の然るべき成長譚なので、
ある程度の満足は得られる映画。

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