メキシコの麻薬を題材にした作品は、
近年立て続けに映画やドラマで描かれていますが、
それをまとめた1冊ということで読みました。
歴史、内蔵、運命という3パートに分かれていて、
メキシコ麻薬戦争を体系的に理解する入門書として、
とてもオモシロかったです。
アヘン(コカイン)の原料となるケシの実が
中国からメキシコへやってくるところから始まり、
筆者がメキシコにおける麻薬について
徹底的に描いていく覚悟を感じます。
一言にメキシコ麻薬カルテルと言っても、
それぞれ成り立ちや行動原理が異なることが
丁寧に描かれていて勉強になりました。
カルテル同士の争いで終始していれば、
ただの抗争で終わるんですが、
手口が陰惨かつ民間の人が犠牲になっている、
そして警察とカルテルが癒着している。
これらのファクターが重なったことで
戦争状態となっているんだなーと。
ほぼ日本の戦国時代の様な状況で、
晒し首が21世紀に入っても行われているだなんて!
色々書き出したらキリないくらいに
信じられないことの連続でページをめくる手が止まらない。
とくにオモシロかったのは宗教のくだり。
カルテル発信で独自の新興宗教が発達していて、
それによってカルテル内の統率を取ることに
一役買っているっていう悪夢。
本作は2010年ごろまでの話なので、
カルテルに対して自警団が結成されて、
民間人が蜂起しているところは描かれていませんが、
その辺は映画のカルテルランドが参考になるかと。
読み終わったこのタイミングで、
最近一番フェイバリットなFKJというアーティストの
MVが公開されて、それがアメリカとメキシコの国境!
鬼メロウで最高の曲なんですが、
本作を読んだ後だとモロモロ複雑な気分になりました。
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