2016年6月7日火曜日

64

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)
64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

映画の前編見て、続きが気になり過ぎて本を先に読みました。
映画自体は正直あんまり好きではなかったんですが、
原作である本著を読むことで理解が深まりました。
(たぶん読んだあとに見たほうが映画を楽しめると思います。)
当然サスペンスの要素はあるですが、
本作がテーマにしているのは「組織」です。
しかも、警察という保守本流、日本伝統の組織が舞台。
広報官である主人公の三上は元刑事なんですが、
広報の所属する警務部と刑事部は仲が悪いんですね。
古巣への思い、刑事としての自我と、目の前の現実、
その狭間で苦悶する姿が可哀想でオモシロくて読む手が全然止まらない!
苦悶した上で彼が出す結論についても、
「いったい誰のために働いているのか?」
という根本的な問いに向き合ってサバイブしていく姿は
泥臭くてかっこいいなーと思いました。
映画を見たときに理解できなかった匿名での報道に関しても、
本の中では背景や現状が明らかになっていましたし、
その匿名というファクターが後半に効いてくるので、
モヤモヤが霧のように晴れました。
前半で組織ぐるみの隠蔽について盛り上げて、
それを三上が追いかけていく中で、
64の模倣事件が起こってからはページ・ターナーっぷりが加速し、
最後の結末に興奮しまくり。(手紙を食べるくだりが最高!)
後編の映画がとても楽しみになりました。

0 件のコメント: